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報告を行なった奨学金の2期生4人と二宮理事長(右端)
報告を行なった奨学金の2期生4人と二宮理事長(右端)

昭栄奨学金2期生が報告=学生に二宮理事長がエール

 9月21日の国外就労者情報援護センター(CIATE、二宮正人理事長)主催の『CIATEコラボラドーレス会議』では、昭栄奨学金の2期生4人の現状報告が行なわれた。同制度は、帰伯した若いデカセギ経験者やその子弟を対象に、CIATEと宮坂国人財団が実施する奨学金給付プログラムだ。
 戦後移住者の母が当地の治安に不安を抱き、宮城温子プリシーラさん(23、二世)=サンパウロ市生まれ同地在住=は家族と共に5歳で日本へ。祖母の体調不良により20歳で帰伯したが、それまで日本語のみで生活しており、ポ語修学のためリベルダーデの日本食店「でいご」で働きながら、1年間予備校に通った。
 「全ポ語の予備校だったが、分からないなりについていった。子どものころ聞いたポ語の感覚が耳に残っていたようで、少しずつ理解できるようになった」と振り返る。埼玉県立越谷総合技術高校を卒業、現在はFECAPの経済学部に通い、保険会社「三井住友海上」で勤務している。
 柿崎デニーゼ・サユリさん(19、三世)=岡山生まれ=は12歳まで日本で暮らした。親の仕事で帰伯したがポ語は全く解しなかった。1年間公文に通ってポ語を習得し、「今では日語よりもポ語の方が慣れている」と当地になじんだ様子。サンカエターノ大学薬学部に通っている。
 ジオゴ・イケドさん(23、四世)=ソロカバ生まれ同地在住=は父の失業、デカセギのため06年から日本へ。浜松のブラジル人校「コレジオ・ピタゴラス」に通学したため「日本語は全く使わない生活だった」という。09年に帰伯し、ソロカバ法科大に通いながら裁判所に勤務している。
 酒井ロドリゴ・ユウキさん(22、三世)=栃木生まれリベイロン・ピーレス市在住=は生まれてすぐブラジルへ。デカセギの両親が一定額の貯蓄を得て帰国した。ただし親に連れられ3歳ごろに再訪日し、栃木、長野、岐阜を転々とし20歳で帰伯した。祖父の体調不良が理由というが、「ポ語は問題なかったが、日本に一人残ることも考えた。でも経済的余裕が無くて」と帰伯を決めたという。ブラジル生活は2年目を迎え、「生活にも順応でき、あちこち旅行へ行くなど楽しく過ごしている」と充実した日々を語った。FMUの建築科に通い、設計などを学んでいる。
 二宮理事長は4人の奨学生を前に「今は学業に励んで。夢を叶えた時、奨学金制度に感謝してもらえれば。日伯をつなぐ国際的な人材として、大きく羽ばたいて欲しい」とエールを送った。

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