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着々すすむ八角堂建設=ラーモス移住地=農村観光の目玉になるか=〝生みの親〟斎藤さんも来伯=9月の完成めざし

2007年8月16日付け

 サンタ・カタリーナ州ラーモス移住地で現在、観光物産館「八角堂」の建設が進んでいる。同地の日本人移住地としての特色を生かした観光物産の販売を目的としたもので、昨年日本政府の草の根無償資金を受け、プロジェクトが動き出した。このほど日本から、九七年に同館の設計図を描いた斎藤健さん(73、一級建築士)が来伯。現場監督として采配をふるっている。完成予定は今年九月末。州や地元フレイ・ロジェリオ市からも地域振興に大きな期待が寄せられている。まさに地域一丸となった取り組みだ。ラーモス農村観光の目玉となるか、十年越しの夢が完成に近づいている。
 観光物産館「八角堂」の構想は九七年、当時JICAの日本語教師としてポルト・アレグレに赴任していた斎藤富貴子シニアボランティアの夫、斎藤健さんが設計図を描き、同移住地へ送ったもの。長年〃休眠〃状態にあったが、昨年八月に日本政府の草の根資金約九万ドルを受け、建設が具体化した。
 ラーモスの周辺にはドイツ、イタリア、オーストリアなど各国系の移住地が点在し、それぞれ自国の文化を生かした移住地作りを進めている。すでに「さくら公園」「平和の鐘公園」などがあるラーモスでも、八角堂プロジェクトを目玉に、日本的な特色と梨や柿、ニンニクなどの特産品をあわせた農村観光をめざす考えだ。
 堂は床面積二百二十四平方メートルの日本建築風の建築物で、地元の農産物や加工品、工芸品などを販売する計画。今年一月から工事が始まっている。
 プロジェクトの〃生みの親〃。七十三歳の今も現役で仕事をしているという斎藤さんは、移住地からの連絡を受け、去る五月に自費で来伯。移住地を挙げて催された歓迎会には地元フレイ・ロジェリオ市の市長も出席し、感謝の意が表された。
 九九年の帰国以来はじめてラーモスを訪問、堂のことも「忘れかけていた頃に連絡があった」という斎藤さん。自身も日本語教師の資格をもつ斎藤さんは、前回の滞在当時、各地を巡回する夫人に同道し、日本語や書道などを教えていたそうだ。以前には建築のシニアボランティアとしてニカラグアに滞在した経験もあるという。
 文協役員から日本村の構想を聞き、設計図を描いた。当初はホテルや多目的ホール、レジャー施設なども備え、「何日か過ごせる場所」をコンセプトにしていたという。今回の工事では堂のほか、管理人棟と日本風の門を建設する。
 今年九月の完成を目指して工事が進む。斎藤さんは網膜はく離を患い、右目の視力がほとんどない状態ながら、現場に立つとともに、細かい作業の図面などを引く毎日だ。
 来年の百周年を前に、十年前の置き土産が日の目を見た。「少しずつできていくのを見るのは、やっぱりうれしい」と話す斎藤さん。「技術や材木、工法などが日本と違いますが、なるべく日本風に仕上げたい」と意気込みを語る。
 同プロジェクトに関してはさらに、日本人会と八角堂を結ぶ二十一メートルの歩道橋「Portal Municipal」を建設する計画も進んでいる。「堂とマッチするように」と木材も使用する。こちらも斎藤さんが設計したものだ。予算については今後、移住地から州へ要望していく予定だという。
 〃村おこし〃に向け、着々と事業を進めるラーモス移住地。ラーモス文協の山本和憲会長は「単に移住地だけの発展にとどまらず、市全体の発展に大きく寄与する事業だと思う」と期待を込める。地元を流れるマロンバス河の橋脚工事、市内から移住地までの道路のアスファルト舗装も進んでおり、州では九月八、九日に同地で開催予定の桜祭りに合わせ、落成式を行う予定だ。
 斎藤さんは「完成を見届けたい」と十月はじめまでの滞在を予定。「建物ができたら何十年ももちます。有効に活用されて移住地が発展すれば、これ以上のことはありません」と話した。

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