ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

2007年8月17日付け

 ブラジル将棋連盟は今年六十周年を迎える。伝統の名人戦大会も六十回目である。だが、連盟役員会が相談した結果、記念式典は取りやめと決まった。淋しい限りである▼なぜ、不振なのか。連盟は指し手の高齢化、激減をあげた。若い愛好者が生まれないということだ。十年前の五十周年のときは、斜陽だったとはいえ、二日がかりの祭りを催した。祭りの費用も当時のおカネで三万レアル集まった、とちょっぴり死んだ子の年を数えた▼名人戦ともなれば、全伯大会らしく地方からも壮年の指し手が上聖したのである。いまそれらの人は高齢化して参加できない。こうした現況において、年少層の指し手を育てなければ、ブラジル将棋界はいよいよ尻つぼみになる趨勢だ。これは分かっているのだが、打つべき有効な手はない▼日本においても伝統文化の将棋を国際的に普及しようと、さまざまな試みをしている。それが成功しているかといえば、否である。駒の呼び名、文字、さらに動かし方といった基本的なことがらさえ、どう教えたらいいか、方法が確立されていない▼よく比較される囲碁は、基礎を覚えた初心者がコンピュータ相手にめきめき腕を上げたという事例がブラジルでもある▼コンピュータ将棋は近年すばらしい技術革新がなされているものの、これは「コンピュータ(のソフト)が強くなった」というふうに進歩しているだけで、初心者育てには繋がっていない。ブラジルの連盟に革命的な将棋人口増の手立てがほしいのだが。(神)

image_print