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日本ブラジル方式=地デジ=南米普及、連携強化=菅総務相、関係大臣と会談=コロニアとも親しく交流=「日本が失ったものがある」

2007年8月21日付け

 来伯中の菅義偉総務大臣(秋田出身、神奈川二区選出)は、ブラジリアで政府関係者らとの会談を終えて、十八日、イビラプエラ公園内の移民開拓先没者慰霊碑への献花と、日本館、ブラジル日本移民史料館の視察を行った。菅大臣は、同日開かれた記者会見で、日本方式を採用したデジタルテレビについて「日本ブラジル方式の南米普及にさらに連携を行っていくこと」を確認したとし、日系社会の印象については「先達の皆のおかげで日本の良さを(ブラジルで)認めてもらっている。百周年を迎える上でも日伯友好発展のために努める新たな決意をした」と報告。神奈川、秋田両県人会共催の歓迎会にも出席し、参加者一人一人の席を廻って、積極的に親睦を深める姿が印象的だった。
 菅大臣の今回の来伯目的は、昨年六月にブラジルが地上デジタルテレビの日本方式を採用し、今年十二月から本格的な放送が開始されることを受けた、協力強化のための意見交換を行うというもの。十九日、チリ、アルゼンチン、ハイチを訪問へ向かった。
 菅大臣は十六日からアレンカル副大臣、ロウセフ文官長、コスタ通信大臣の三閣僚らと会談。「日本方式を選択してよかったという言葉をいただいた」と述べ、南米普及に向け互いに連携していくことで意見が一致したとした。チリ、アルゼンチンの訪問では、日伯方式のよさを理解してもらえるよう、「デモンストレーションなどを積極的に実施していきたい」と展望を話した。
 ブラジル側ではエクアドル、コロンビアへの普及に力を入れており、今後日本側も協力していく予定だ。
 また会談では、「百周年に向け日伯の友好関係をさらに強化して、それぞれの国の中で盛り上げていこう」との確認もなされた。
 十八日は、ほぼ一日を移民の関連地の視察と日系社会代表との懇談に割いた菅大臣。日本館では松尾治県連会長はじめ、五人の各会長らが同行し、桜やツツジが満開に咲くさわやかな陽気の中、菅大臣は松尾会長から、日本祭りや、百周年記念に百本の桜を植える計画などの説明を受けた。菅大臣は「桜がきれいだね」と、まぶしそうに手をかざしながら辺りを見回していた。
 秋田県人会会館で行われた歓迎会には、菅大臣一行ら十人と、各県人ら十五人が出席。菅大臣はあいさつで、「農家の長男で農業を継ぐのが嫌で東京へ出ました。工場で働いて大学在学中に政治を志した」と自身の経歴を紹介した。「日本人として恥ずかしいことをするな」と教えられたという上原幸啓文協会長の言葉から「ここには日本が失ったものがある。日本の素晴らしさをしっかりと持って皆がここで暮らしている」と日系社会の印象を話し、「日本の原点を忘れず、正々堂々と生きていくことができるよう願っています」と締めくくった。
 村田洋神奈川県人会会長は「百周年の盛り上がりの後押しを日本政府に働きかけてほしい」と菅大臣に要望を述べた。
 時間を延長しての懇談会では、菅大臣は会場内の参加者の席を訪ね歩いた。馬取勲さんは「私の生い立ちを話しました。いい人という感じ」。雲出セツ子さんは「思っていたよりも質素な方でした」と交流の感想を話した。石川準二秋田県人会会長は「大臣は苦学の人だ。だから庶民の気持ちがわかる」と、にぎやかな歓迎会に安堵を見せていた。

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