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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2007年9月11日付け

 臨時国会が始まった。先の参院選で民主党が圧勝し自民完敗で「ねじれ現象」が起きての国会であり、与党と野党の激しい対立が予想される。国会の焦点は、テロ特措法の延長であり、政府・与党が提出する予定の法案が可決するかどうかである。高村防衛相は、延長案をなんとしても成立させたいと意気込んでいるけれども、参院第一党の民主党は反対を主張しており、議会の混迷は避けられまい▼テロ特措法は、米の中枢テロがあった2001年11月に成立したものであり、これまで3回にわたり延長法案を可決してきた。具体的にはインド洋に海上自衛隊の護衛艦(イージス艦)と補給艦を派遣し、米英仏など11ヵ国の艦船に燃料や水を補給する業務を行い大きな成果をあげている。つまり、アフガンの治安安定のために活躍する米軍を軸とする40ヵ国に近い軍隊の活動を支援している▼ところが、このテロ特措法は11月1日で期限が切れる。そうなると、海自の支援は中止せざるをえない。ブッシュ大統領を始めメルケル独首相などは、支援の継続を求めているし、政府・与党の考えも同じなのだが、民主党の小沢一郎代表は、頑ななまでの反対論を展開している。衆院で絶対多数の自民党が、延長案を可決しても、参院では多数を誇る民主党が反対多数で否決するのは間違いない▼このような事態になれば、政府・与党は衆院で再議決できるけれども、ここまでくると政界の混迷化は深まるし、民主党が狙う「解散」があるかもしれない。と、言って海自をインド洋から撤退させれば日本の国際的な評価は下落するし―で真に難しい。  (遯)

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