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全伯各地の30寺院訪れる=開教事情や高齢福祉を調査阪大准教授 坂東照啓さん

ニッケイ新聞 2007年10月5日付け

 「百周年のお祭りの裏側にある世界も日本で知ってもらえれば」。大阪大学世界言語センターの准教授、坂東照啓さん(42)が日系既成仏教教団の開教事情などをテーマに約一カ月かけ調査、帰国前日の一日、本紙編集部を訪れ、感想を語った。
 今年三月にも同テーマ調査のため来伯、言語文化学会の出版する論集に発表。今回を含めて既成仏教の寺院約三十を訪れている。
 ブラジリアなど、非日系人が住職となり、別の方向性を見出している例は稀で、「ほぼ全ての寺が日本と同じやり方、日本語の世界」だという。
 収入源を主に法事に頼っていることに加え、日本と違い墓地などを所有しないため、家庭と寺の関係が疎遠になることを指摘、「かなり厳しい状況」と話す。
 「開教五十年というが、現地の僧侶が育っていない」ことも挙げ、ブラジルにおける既成仏教教団の存続に警鐘を鳴らす。
 坂東さんは、大阪外国語大学ポルトガル語学科を卒業後、広島大学大学院で言語学を研究。
 〇〇年から約十一カ月、州立カンピーナス大学で客員研究員として、日本語教育に携わった。ある時、知人に連れられ、サンパウロ市の日系寺院の社務所を訪れ、衝撃を受けたという。
 「黒板に行事を書き、コンピュータもない。全く日本の寺そのものがブラジルにあることに吃驚した」
 元々大学の卒業論文でカトリックや黒人宗教をテーマに取り上げただけに興味が高まった。
 同時にブラジルで坂東さんが調査対象にしているのは、日系高齢者福祉。昨年も八月末から一カ月間、憩いの園、和順会、厚生ホームなどを取材、すでにブラジル関係の雑誌に発表している。
 「日本では全く知られていない世界。とりあえず知ってもらうこと自体に社会的意義があるのでは」と表情を引き締める。
 次回の来伯は、〇八年十月頃を予定している。
 「百周年が落ち着いたころにまた来ようと思っています」と柔らかな関西弁で話した。

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