ニッケイ新聞 2007年10月10日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】世界貿易機関(WTO)のハゲネイ伯大使は八日、農産物補助金の削減を訴えたドーハ・ラウンドの交渉を打ち切る意向を明らかにした。ブラジルは最終的に、ドーハ・ラウンドとメルコスルの狭間で無念の選択を迫られた。メルコスル協定加盟国は、工業製品の保護政策を導入し先進国へ対抗する考えだ。
世界的な流れと思われた自由貿易は逆方向へ舵を取り、先進国はあからさまな保護政策を打ち出した。ブラジルにとってメルコスルは、さらに重要なホーム・グラウンドとなった。アモリン外相は、ドーハを諦めメルコスルを採る旨WTOのレミー専務理事宛、最後通告をした。
メルコスルは域外共通関税がまだ解決されていないが、WTOに対しては遠慮の必要がなくなり、明かに保護貿易ととれる関税率を課することができる。問題は、加盟四カ国が納得する税率を決めること。
現行の共通関税率は四年前に打ち合わせたもので、メルコスルが大きく成長した今、調整の時期が来ている。特に先進国によって自由貿易を拒絶された品目は、共同歩調を採る必要がある。
WTOでは工業製品ばかりが取り上げられ、農産物は殆ど省みられずブラジルが抗議した。そして途上国に対する特別枠の設定を強く求めている。農産物問題は今回WTOの中心議題であるはずだが、先進国が敬遠している。