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百年史編纂委員会が発足=百周年執行委=写真展、写真集の準備進む

ニッケイ新聞 2007年10月10日付け

 ブラジル日本移民百周年記念協会の執行委員会(松尾治執行委員長)が四日晩、サンパウロ市の文協ビル内の同協会会議室で行われ、移民百年史編纂委員会が正式に発足した。松尾執行委員長と遠山景孝同広報担当が翌五日に内容を広報した。
 承認された編纂委員会のメンバーは、プロジェクト立案者の森幸一USP教授、文協の中島エドアルド事務局長、移民史料館の栗原猛運営委員長、同史料館の大井セリア館長、JICAシニアボランティアの小笠原公衛さん、同中村茂生さん、JICA青年ボランティアの山本裕美子さん、ニッケイ新聞の深沢正雪さんら八人。現在のところ、編纂委員長は未定。
 今後、必要に応じて人員を増やしていく方針。それに加え、協力委員もしくは協力者として学識経験者、有識者、邦字マスコミ関係者などに参加してもらう。
 この百年史プロジェクトは〇七年から一一年まで五年がかりで六冊を出版していくもので、総予算は約二十七万ドル。第一巻が写真集、第二巻が総論、第三~四巻が地方・地域史、第五巻が各分野の歴史、第六刊が資料編の予定。
 第一巻の写真集と写真展の準備作業は、小笠原シニアを中心に進められている。今年六月から史料館前副館長の中山保巳さんの協力をえて写真の選考が始められ、同シニアは八月にアマゾン地域に写真収集などの調査にも赴いた。
 同館が収蔵する写真約一万枚から、現在までに三百五十枚に絞り込んだ。全伯の移民史料館代表者がサンパウロ市に集まって今月下旬に行われる会議で協力を依頼して各地からの写真を加え、百周年にふさわしい内容になるよう準備を進めている。
■百周年写真巡回展
 この写真展は百周年協会とJICA、各地の史料館グループが主体となって実施するもので、来年、日伯両側で開催される。
 年末までに百枚ていどに写真を絞り、JICA横浜に送る。日本側での写真展は同機構が窓口となり、その全面的な協力の下、各地で巡回展がおこなわれる。ブラジル側では、各地の史料館を巡回する形で行なわれる予定だが、費用負担等詳細は未定。今回の史料館会議で検討される。
■記念写真集の出版
 「写真集」は両国の大手出版関係と交渉中。日本側の百周年式典が行われる四月までに日本側で刊行し、巡回写真展会場でも販売していく。できるだけ流通ルートにのせ、両国で移民百周年ができだけ広く知られるような広報的役割を重視するという。
 百周年協会を通して日本側日伯交流年実行委員会に働きかけ、訪日就労者の集中地域の公立図書館、デカセギ子弟のいる公立学校の図書館に購入してもらい、地元日本人に理解を深めてもらえるような出版物にしたいと考えている。
■百年史第2巻の準備
 中村シニアを中心に、第二巻の準備作業が進められる。できれば、来年前半に調査・資料収集を行い、後半には資料の読み込み、補足調査、執筆、〇九年中ごろに刊行というスケジュール。
 そのためには来年早々にも日本から研究者に来てもらう必要があり、かかる費用を確保するために、「百周年協会の主催事業として早急に予算を手当てしてもらう必要がある」と同編纂委員会では訴えている。
■百年祭後は文協に移行
 これらの作業は、サンパウロ市の移民史料館の収蔵物が拠り所となり、そこに実質的な主体が置かれる関係もあって、〇九年以降に百周年協会が解散した後は、文協に組織が引き継がれる方向で調整される予定。
■式典で「ねぶた」運行
 その他、松尾執行委員長によれば年末までに日ポ両語で百周年行事予定などを網羅したガイドブックを発行することを今回の執行委員会で確認した。
 青森の「ねぶた」を百年祭式典で披露する交渉が進められており、総予算三千九百万円のうち半額をブラジル側負担とし、今月中にスポンサーを探すとの予定が明らかにされた。
 さらに、いったん解散した映像記録委員会だが、呉屋春美さんをコーディネーターにして再編成することも決められた。
 来年一月中頃に予定されている日伯交流年開始を告げる文化イベントには、日本から要人が来伯する見込みだという。

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