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伸び悩む日本語速成塾=日語セ=教師らが打ち合わせ会=生徒獲得が今後の課題に=「まだまだこれから」=谷理事長「誇りをもって」

ニッケイ新聞 2007年10月17日付け

 ブラジル日本語センター(谷広海会長)は、第一回速成塾(日本就労者向け短期日本語講座)の教師打ち合わせ会を、十二日に同センターで開催した。日本語センターでは半年間で四回にわたる教師研修会を行い、六十七人の講座講師を養成したが、現在までの生徒数は二十一人。「思った以上に生徒を見つけられていない」と谷理事長は話す。いかに速成塾の意義に理解を得て生徒獲得につなげるのか―。塾開設の構想から約三年。目前の課題に、教師とセンターが取り組んでいる。
 当日は第四回速成塾教師研修会の閉講式でもあり、これから開塾しようとしている十四人の修了教師らと、これまでに研修を受けた講師ら、合わせて四十人弱が参加した。
 速成塾は、三カ月六十時間の授業でひらがな、カタカナの文字と工場や日常生活で使う簡単な会話の修得を目指す講座。センターが専用教材と独自の教授法を開発し、教師間での評判は上々だが、授業料が一千レアルとされているところで「高すぎて生徒がつかないのでは」と危惧されていた。
 会では、指導生徒を持つ教師らが体験発表を披露し、谷理事長が経営学的な観点から、講演「生徒獲得には意識改革」を行った。
 谷理事長は「良いものは高いんですよ。身につけた技術(語学力)は誰にもとられることのないものです。自分たちは高いものを売っているんだと、誇りを持っていかなくてはいけない」と訴え、日本語ができることでの出稼ぎ者にとっての利点や、言葉のできる人がより求められている現状を説明した。
 「生徒はお客様だと思ってください。自分が動いた分だけが成果となって返ってきます」と、谷理事長。「日本語ができないために惨めな思いをしている出稼ぎの姿を見てきた」と速成塾にかける思いを話し、互いに協力していこうと参加者らに呼びかけた。
 一人で四人の生徒を受け持った本田秀子教師は、体験発表で「運がよかったんです」と謙遜しつつも、「授業料は安いですって説明するんです。私、一千レアルなんて最初に言いませんよ」とコツを明かす。
 速成塾の授業料を時間あたりにすれば、十六レアル強。英語など他の語学教室に比べても安く、三回のテストや修了証発行などを考慮すれば「決して高くない」と本田教師。「いい教材があって、いきなり会話ができるようになるので、生徒も喜んでいます」と、学習効果を強調した。
 三人の生徒を受け持つ狩俣登美子教師は、自作のポスターを作ったり、修了証を教室に貼ったりしていると工夫を話し、「宣伝することが大事」。馬場康二教師は「教案を作ること、時間を守ること」とアドバイスを送っていた。
 第四回教師研修会には、アマゾナス、ゴイアス、パラナ、マット・グロッソ・ド・スルなど他州からの教師も参加。速成塾が全伯各地に広がりつつある。マナウスで指導している錦戸みどり教師は、「工場で働くために日本語を勉強している人もいますし、(速成塾を始める)生徒はいるんじゃないでしょうか」と展望を話した。
 丹羽義和事務局長は「少しずつ先生方の意識が変わってきたと思います。まだまだこれからですよ」と意気込みを語った。

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