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富山でもブラジル人身近に=母県から南米親善訪問団=サンパウロ市で会員らと懇談会

ニッケイ新聞 2007年10月26日付け

 南米在住の富山県人との親善交流などを目的にした「富山県南米親善訪問団」一行が今月二十二日に着伯、二十三日夜、サンパウロ市アクリマソン区にある同県人会(市川良一会長)会館で、会員との懇親夕食会に参加した。
 団員は横田安弘富山県議会議員、植出耕一同県公営企業管理者、吉田徹同県知事政策室国際・日本海政策課国際交流係長の三人。同訪問団の来伯は二年ぶり。
 横田議員はあいさつで来年の百周年に触れたうえで、会員に対し「越中魂をしっかりとブラジルの大地に根付かせてほしい」と激励。植出さんは「同県の財政状況は厳しいが、今後ともできるだけ皆さんを応援できるようしっかり勉強したい」と述べた。
 市川会長は「婦人部が用意したブラジルのすき焼きの味を忘れないでお帰りください」とあいさつ。訪問団一行は会員らと郷里の話に華を咲かせ、和やかな交流の時間を過ごした。
 今回初めての来伯という横田議員はブラジルの印象について「日本から遠い国だが若くてエネルギーがある」と形容。来年の移民百周年については「移住者の方々がフロンティア精神をもって努力を重ねてきた結果」と称えた。
 同訪問団の説明によれば、同県には現在、約四千六百人のブラジル国籍者が暮らしている。中国籍の在住者に次ぐ数で、近年大幅な増加傾向にある。横田議員は「最近では高岡市にブラジル人向けの喫茶店ができた」と紹介。自宅の近くで「ブラジル人の各家庭を巡回する食べ物の販売車も見かけるようになった」と述べ、身近にブラジル人が暮らす環境を話した。
 県の多文化共生にむけた取り組みとしては、外国人向けの生活ガイドブックやポ語版の防災ラジオなど。帰国子女が多い黒部市などでは英語を話すバイリンガル教師の導入を試験的におこなっているという。
 また同県では毎年、ブラジルからの研修生・留学生の受け入れを継続。逆に同県からは文部科学省のREXプログラムを通して、第三アリアンサ移住地に日本語教師の派遣を続けている。
 今年四月からは吉田係長の同課に「外国青年招致事業」(JETプログラム)の国際交流員、エヴェルソン・エステケス・レーモスさんが赴任し、ポ語の相談員として活躍中だという。
 一行は総領事館などサンパウロ市内の関係機関を訪問後、二十七日に同アリアンサ移住地で、墓参りや県人在住者との交流会などに参加する。アルゼンチンで在亜県人会との懇親会に参加、サンパウロ市の日系団体を訪れ、来月一日に帰国する。

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