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コロニアのカラオケ、プロ化へすすむ=ユタテ・レコード設立=5人を専属歌手に=唄も〃純コロニア産〃

ニッケイ新聞 2007年11月02日付け

 コロニアカラオケもプロ化の波へ――。サンパウロ市リベルダーデ区で十六年にわたりカラオケ・スタジオを経営してきた松岡伸雄さん(60、一世)がこのほど、総合音楽プロダクション「ユタテ・レコード」を設立、あわせてコロニアのアマチュア歌手五人を同社専属のプロ歌手として契約した。松岡さんによれば、日系コロニアでのレコード会社設立ははじめて。それぞれの歌手に〃純コロニア産〃のオリジナル曲が製作されている。「プロへの道が開けてコロニア歌手の大きな目標ができた。吹けば飛ぶような子会社だが、今後ともコロニアのカラオケ発展のために協力していきたい」と松岡さんは話している。
 「コロニアカラオケもレベルが高くなったけど、趣味の壁を越えなかった。更なる発展のためにはプロへの道を開くことが大事では」。そんな積年の想いをもとに松岡さんは個人で資金を貯めて、同社を設立した。
 設立にあわせてプロデビューしたコロニア歌手は五人。それぞれがコロニア歌謡界の重鎮、島田正市氏作曲、川合節子さん作詞のデビューCDをひっさげている。歌手の契約は一年の更新制、ギャラはCD販売の売上げによる出来高払い。今後はグループ単位でキャンペーン活動を展開していく。
 プロ歌手になったのは女性で、中村由美さん(19)『あなたへの詩』、北條美咲さん(60)『ひとりにしないで』、宮城愛子さん(54)『カナ・サンドー』、伏見まりさん(58)『母のぬくもり』の四人。男性では西川正さん(26)『人生海峡』。
 「曲はそれぞれの歌手のイメージや声質に合わしてつくった」と島田さん。ド演歌からニュー演歌など、種類もさまざま。「全体としてはコロニア歌手の中心世代である六十代前後向けに仕上がっている」。
 歌手の選定にあたり松岡さんは「歌の上手さだけでなく人間性を大事にした」と強調する。「プロとして活躍していくには、謙虚で礼儀のある人であってほしい」。
 それぞれの歌手は日本のプロのように専業として活動するわけではない。「みなさん学校に通ったり別の仕事をもっていますので、今まで通りの生活も尊重していく」という。
 香川県出身の松岡さんは十二歳のときに、家族とともに渡伯。十八歳でブラジルに帰化した。自動車部品の設計を手掛ける仕事をした後、「将来は好きな音楽の仕事にかかわりたい」と考え、サンパウロ市ジャバクアラ区にカラオケスナックを八五年にオープンした。
 八九年からは「故郷の日本でもう一度暮らしてみたい」という思いもあり、群馬県太田市にデカセギへ。資金をためて九一年に帰伯し、カラオケ専門の「スタジオ・ユタテ」を設立した。カラオケブームにあわせて、練習用の歌唱テープなどを販売する事業を続けてきた。
 「別に音楽大学を出ているわけでもないですが、唄が昔から好きなので」と松岡さんは笑う。現在では毎週末、カラオケコンクールの審査員としてでかける日々だ。
 オリジナルCDは一枚二十レアルで販売(郵送可)。歌手別のCDにはガイドメロディーのついたトラックも入っている。また五人の歌を一枚にまとめたCDも販売する。問い合わせは同社(電話11・3209・0058)まで。会社の住所は(Rua.Conselheiro Furtado,324 s/411 Liberdade?Sp)。

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