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「日本語訳のブラジル国歌」=渡邉さん助言受け=充実、近く〃試唱〃も

ニッケイ新聞 2007年11月09日付け

 【既報関連】さきにブラジル国歌の歌詞を意訳し、曲に充てる作業をやってのけた渡邉智子さん(55、主婦、サンパウロ)のもとに、その後、さまざまな助言や励ましの言葉が寄せられ、「日本語訳のブラジル国歌」は一層充実したものなった。六日、経緯を渡邉さんが明らかにした。その国歌は、近く音楽教師小野寺七郎さんの指導によって、エスペランサ婦人会、椎の実学園のコーラス部が〃試唱〃する見込みだ。
 渡邉さんが「ありがたかった」と話した励まし、助言は――
 ∧その1∨ペレイラ・バレット在住の河村信男さんは、今年八十五歳の子供移民。三度のめしより音楽が好きという人で、渡邉さんの仕事をニッケイ新聞で知り、ついでだ、と言いながら、わざわざ出聖して歌詞つきの楽譜を見に訪ねた。長年、たて笛やギターを演奏したり、音楽愛好者グループを指導し、また作曲も手がけるほどの〃音楽のムシ〃。渡邉さんの作業の、努力の積み重ね、すばらしさをすぐさま理解したようだ。
 河村さんは、以前、古野菊生氏(元リオ大使館勤務、京都外語大元助教授)が国歌歌詞を訳したとき、その詩を国歌のメロディ、リズムに充てはめよう、と試みて、上手くいかなかった経験をしている。
 ∧その2∨短歌をつくったり、随想を書いたりする新井知里さん(サンパウロ)は、自身の日本語をおろそかにしない感性から、訳詞への違和感を三ヵ所指摘した。その部分を二世の日ポ両語堪能の教師西原パウロさんに意見を求めるなど、歌詞充実へ向けて入念な行動を起こしてくれた。西原さんの助言を得て、指摘はいいところに落ち着いたようだ。
 ∧その3∨コーラスの指導者白畑智子さんは、訳詞を楽譜に充てた際のアクセントの置き方について、具体的に助言した。ポ語をカタカナにして、無神経に日本語流に口にすれば、聴く人たちに理解されず、まったく訴えるものがない、という指摘だった。例えば、冒頭の「イピランガの岸辺の」の「イピランガ」には、ポ語独特のアクセントの置き方があるというのである。
 ――渡邉さんは、こうした意見、助言を取り入れ、歌詞の一部を書き換え、楽譜に充てた。あとは、コーラスグループの歌唱をまつだけである。新たな訳詞一番を紹介する。
     ◇
イピランガの岸辺の静寂を
破る雄叫び 上がれり
その時 自由の光が
祖国の空を 照らせり
強き力に 平等への道開かれ
胸なる自由の熱き願い
死も嫌(い)とわじ
愛する祖国に 永久の栄
ブラジル 夢大き国
愛と希望の光射しこみ
明るく澄み渡る空に
光る南十字星
その自然は 雄大なる
強く勇ましき巨人
大きな明日(あした)映して (繰り返し)
わが祖国
すべての国にまさりて佳し
母なる大地ぞ わが祖国 ブラジル

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