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48年ぶり同船者再会=県連「ふるさと巡り」で――新川さん松尾さん、船中酒酌んだ仲

ニッケイ新聞 2007年12月7日付け

 「まさかこんなところで会うなんて――」。県連主催の第二十八回ふるさと巡りで、四十八年ぶりの再開を果たした男性二人がいた。新川一男さん(72、広島出身)と松尾仁さん(68、新潟出身)だ。
 二人は農業移住者として一九五九年にブラジルへ移住。二人を乗せたあめりか丸は、五九年九月二十八日にサントス港に到着した。船内では、新川さんと松尾さんをはじめ新潟県、広島県、鹿児島県出身者それぞれ四人ずつが一緒の部屋で航海した。当時若者ばかりだったために酒を飲んだり、騒いだりして楽しんだ思い出がある、とういう。
 サントス港に到着して以降、新川さんはアチバイアへ、松尾さんはレジストロへそれぞれ入植した。その後四十八年間は、一度も出会うことがなく歳月だけが過ぎ、二人はふるさと巡りの舞台で再会を果たした。
 新川さんは今回四度目の参加で、松尾さんは五度目の参加。何度かは顔を合わせていた可能性もあるが、本人同士ということが分ったのが今回だった。
 松尾さんは「なんとも思いがけない再会だ」と喜びつつ、「こんなこともあるんだな」と驚きを隠せない様子だった。「この四十八年間は全く知らなかったから、あの時の懐かしい記憶が蘇ったよ」と嬉しそう。
 一方、新川さんは「懐かしかった。でも、数年前から松尾さんの噂は聞いていたので」と驚きはない様子。「正直で、物事を良く知っている人だった」と当時を振り返り、「やっぱり歳月が経つと少々変わってしまうんだな」と時の流れを実感していた。
 旅行中は食事中に同じ席に座り、食事を楽しむ場面や、昔話に華が咲いたように語らう姿も見られた。

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