ニッケイ新聞 2007年12月15日付け
法務省入国管理局統計によれば、日本在住ブラジル国籍者の「永住者」資格保持者が二〇〇六年末時点で七万八五二三人となり、一九九〇年代にデカセギブームの主役の座を担ってきた、主に日系二世に与えられる「日本人の配偶者等」(七万四〇〇一人)の資格を初めて上回った。〇〇年から〇五年までは毎年約一万人ずつの増加だったが、〇六年は静岡や愛知、三重などの地方を中心に一万六〇〇〇人と激増した。中部地方に住む古株層が中心になって定住化傾向を強めているようだ。
在聖総領事館の査証班、港偉夫領事は「いまの流れから行けば、さらに永住者が増える可能性がある」と指摘する。
九〇年の入管法改正により始まったデカセギブームの初期に主役の座を占めていたのは「日本人の配偶者等」であり、主に三世に与えられる「定住者」の数が上回ったのは一九九八年だ。以後、「定住者」はどんどん増え、〇六年現在も漸増傾向にあり、全体の半数近い一五万三一四一人を占めるに至った。
同統計によれば、〇〇年時点での在日ブラジル人総数は約二五万人だったが、〇六年では三一万二九七九人に増えた。
中身を詳しく見ると、「定住者」資格は〇〇年来、一五万人前後で推移している。変化しているのは「日本人の配偶者等」が漸減している点と、「永住者」が四分の一に達する勢いで増加している点だ。
〇六年に「永住者」資格を許可した入国管理局を地方別に見ると、デカセギ集住地域を抱える名古屋管轄(愛知、静岡、三重など)が一万一六七一人と最多。前年までは約七〇〇〇人だったのが、激増した。この地域を核に定住化傾向が強まっているようだ。
名古屋管轄に続いて東京管轄(長野、群馬、栃木など)の三三七二人、大阪管轄(兵庫、滋賀など)の五七八人、その他で四三四人、総計一万六〇五五人となっている。
一方、〇六年三月に入国管理局が「永住許可に関するガイドライン」を公表したことが、「永住者」増加に影響を与えているとの指摘もある。公表以前、通常は十年以上の在留が要件だったが、公表によって五年に緩和され、基準が明文化されて透明性が増したために申請しやすくなった。
同ガイドラインの要件には(1)「素行が善良であること」、(2)「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」の二点があげられており、その上で、就労資格又は居住資格をもって引き続き五年以上在留しており、「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」と規定している。
五年以上日本に居住する中部地区の古株層を中心に定住化傾向がすすみ、滞在資格を三~一年間の特定ビザから永住ビザに変化させてきているようだ。
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「永住者」の推移は次の通り。
▼一九九八年=二六四四人
▼一九九九年=四五九二人
▼二〇〇〇年=九〇六二人
▼〇一年=二万〇二七七人
▼〇二年=三万一二〇三人
▼〇三年=四万一七七一人
▼〇四年=五万二五八一人
▼〇五年=六万三六四三人
▼〇六年=七万八五二三人
「日本人の配偶者等」の推移は次の通り。
▼九八年=九万八八二三人
▼九九年=九万七三三〇人
▼〇〇年一〇万一六二三人
▼〇一年=九万七二六二人
▼〇二年=九万〇七三二人
▼〇三年=八万五四八二人
▼〇四年=八万二一七三人
▼〇五年=七万八八五一人
▼〇六年=七万四〇〇一人