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浜松ひき逃げ事件=被害者遺族に28万円贈る=裁判傍聴費用にあてて=ブラジル人コミュニティの善意=「Xマスのプレゼントに」

ニッケイ新聞 2007年12月25日付け

 一九九九年七月に桧垣ミルトン・ノボル被告が起こしたひき逃げ事故により、高校二年生だった一人娘の長女・真弓さんを亡くした落合敏雄さん(60)=静岡県浜松市=に対し、サンパウロ市で進められている代理処罰(国外犯処罰)裁判を傍聴できるようにと日本のブラジル人有志から集められた二十八万円が二十日、比嘉エバリスト神父(57、南マ州カンポ・グランデ市出身)によって渡された。
 初の国外犯処罰裁判として二月六日に始まり、日本のメディアが集中して報道したことを受け、ブラジル人のイメージ悪化を懸念した在日ブラジル人コミュニティの有志が発案し、比嘉神父が音頭をとって三月からこの募金キャンペーンが始まった。
 これは、落合さんがサンパウロ市で行われている裁判を傍聴するための渡航費用として集められた。今月二十日までに二十八万円が集まった。
 比嘉神父はニッケイ新聞のEメールによる取材に答え、「落合さんはカトリックを信仰している。我々キリスト教徒にとってクリスマスは平和と博愛を象徴する重要な日。そして彼自身の誕生日が同二十一日なので、そのプレゼントという意味で二十日に渡しました」と説明した。
 同神父によれば、渡す時に「大半はまじめに働いているのに、残念なことに一部のブラジル人がそのイメージを汚している。この寄付はあなたへの連帯の印です」と主旨を説明すると、落合さんは「哀しい時、苦しい時は常に聖書を読んで闘い続ける意志を奮い起こしている。クリスマスを迎えるにあたり、こんなプレゼントがくるとは嬉しい」と返答したという。
 キャンペーンの中心となったのは比嘉神父が普段巡回しており、ミサをするたびに募金を呼びかけた静岡県内で、計百人以上が応じたという。ただし、在日ポ語メディアが協力したため、遠隔地からも郵便などで届いた。
 比嘉神父は「これが在日ブラジル人コミュニティの、遺族に対する誠意です」とEメールを結んだ。

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