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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2007年12月25日付け

 日本と韓国は近い。欽明天皇が百済から仏教を導入したし、昔から人々の交流は活発だった。長い歴史のなかでは、日本による併合という哀しみもあるが―今や韓国から日本への旅行者は250万人にのぼり、日本から慶州や釜山を訪ねる人も多い。古い時代には、日本への渡来人がいっぱいいたし、この朝鮮系の人々が政治や宗教・文化に多大な貢献をした事実もある▼ところが、最近の日韓関係は冷え切っており、「失われた10年」の表現がぴったりする。言うまでもなく、金大中、盧武鉉政権の革新系2代が、太陽政策による親北朝鮮に重点を置いたので対日と対米外交は脇に追いやれたの印象が強い。盧大統領は、竹島の領土問題と慰安婦、教科書や首相の靖国参拝などを取り上げては日韓外交を「冷戦時代」のようなものにし、余りの偏狭ぶりに批判も高かった▼こうした厳しい政治状況の中で行われた大統領選挙で野党ハンナラ党の李明博氏が圧倒的な強さで当選を果した。大阪府生まれで苦学して高麗大学を卒業し「現代建設」に就職し社長と会長を務め、ソウル市長になった逸材である。革新政権批判は鋭く、保守派をもって任じ経済に明るい。政治家としての能力も高いと評されている▼韓国の経済規模は世界でも10位に入ろうとしており、国民所得も1人当たり2万ドルに達しているが、李明博次期大統領はこれを4万ドルに引き上げたいとし、日本の駐韓大使とも会見し友好を強めたいとしている。これは歓迎すべきことであり、歴史認識の相違は認めながらも、真の外交を展開しようとする心意気を評価したい。     (遯)

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