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歌会始にブラジルから入選=本紙歌壇選者の渡辺さん

ニッケイ新聞 2007年12月27日付け

 宮内庁は二十五日付で、来年一月十六日に皇居・宮殿で行われる「歌会始の儀」に招かれ、歌が詠み上げられる一般の入選者十人を発表した。今回ははじめて中学生二人が入選したほか、サンパウロ在住の渡辺光さん(78)が入選した。
 題は「火」。天皇陛下から特別に招かれ歌を披露する召人(めしうど)は歌人宮英子さん(90)が選ばれた。
 選考対象となった一般応募は二万二千三百二十一首。海外二十五の国・地域からも百七十四首が寄せられ、点字で詠んだ歌も三十八首あった。
 当日は入選者も宮殿「松の間」に招待され、天皇、皇后両陛下や皇族の歌とともに、伝統的な発声と節回しで自分の歌が詠み上げられる。
 海外在住者で唯一入選した渡辺さんは、熊本県出身。一九六〇年に移住し、日系企業を定年退職後、「椰子樹」会員として歌の勉強を始めた。現在はニッケイ歌壇選者、会報「老荘の友」歌壇の選者なども務める。
 「四十七年サンパウロにいて、ほとんど田舎の生活を知らない」と話す渡辺さん。今回は旅行で田舎を訪れた際に見た、ブラジルらしい広大な景色を詠んだ。
 歌を始めて約十五年。歌会始には毎年応募しており、今回七度目の応募で入選を果たした。今月始めに宮内庁から知らせがあったという。「まさか入ると思っていなかった。夢のような気持ちでした」と喜びを表した。歌会始の儀に出席するため、年明けに訪日する予定だという。

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