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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年2月21日付け

 リオの警察特殊部隊の暗躍を描いた映画『トロッパ・デ・エリーチ』(邦題ジ・エリート・スクワッド)が、ドイツのベルリン映画祭で金熊賞に輝いた。昨年この映画を観たとき、警察権力による殺戮、正義の名のもとに行われる拷問の印象があまりに強く、まるで戦争映画を見終わったような気分になった▼気になったのは一緒に見ているブラジル人観衆が拍手したり、快哉を叫んだりする様子だった。なんとも不気味な後味を残した。ところが、十七日付けエスタード紙記事を読んで納得した▼この三十年間で二千件のリンチ事件を調べたジョゼ・デ・ソウザ・マルチンスUSP教授は「伯国は世界で最もリンチが多い国」という。全伯で週平均三~四件の集団リンチが起き、その大半が殺されている。公式には死刑のないこの国で…。この五十年間で約五十万人がリンチする側に荷担したと教授は推測するが「ほぼ誰一人処罰されていない」▼立派な法律はあってもそれが執行されないと民衆が考えるから、それに安穏としている殺人犯や強姦犯に対して、生きたまま焼くなどの報復を加える。権力が上から押しつけたのではなく〃大衆の刑法〃だ。この半世紀で軍事政権が終わった直後に最も集中し、九八年サッカーW杯の一カ月間には一件もなかった▼映画の中で警察がマフィアに加える拷問は、無名の一般大衆がリンチに参加する心情に通底している。日本のある映画批評を読んでいて「アクション映画」とあったのを見て愕然とした。平和ボケだ。この受賞は、共感するのが伯人だけでないことを証明した。(深)

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