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感動の涙あふれた3時間=オペラ季節館「歌の華祭」=明治・大正・昭和の名曲=1千人が文協講堂埋める

ニッケイ新聞 2008年3月4日付け

 日本の歌を、世界に――。ブラジル日本移民百周年記念事業の一環として、日本のオペラ季節館(伊勢谷宣仁代表)による「歌の華祭」が、一日午後二時から五時まで文協大講堂で開催された。約千人が来場し、会場内は終始興奮の渦に包まれた。懐かしい歌が聞こえてくるたびに、一緒に口ずさみ、感極まって涙を流している来場の者の姿が多く見られた。伊勢谷代表は最後の舞台挨拶で、「初めて地球の大きさを感じました。関係者はじめ、来ていただいた方々に本当に感謝します」と感激した様子で話した。
 開会に伴い、後藤猛領事、重田エウゾ百周年協会祭典委員長が「懐かしいメロディーを聞きながら楽しんでください」とあいさつ。
 第一部は、懐かしの童歌や童謡の「童謡かけ足一年」、明治維新によって西欧の文化が大きな影響を与えた「日本の歌のあけぼの」、各々が持っているふるさとの歌「日本のふるさと」、戦後の世相を歌った「昭和の時代」に分けて数曲を披露。
 第一部の最後には「みんなで歌おう」と題し、希望者約三十人舞台に上がり、「月の砂漠」「赤とんぼ」などを来場者一同で大合唱した。
 この日、観客として訪れていた西林万寿夫総領事も舞台に上がり、美声を披露し、ひときわ大きな盛り上がりを見せた。
 休憩を挟んでの第二部は「ダンスコーナー」で始まり、弦楽四重奏による「ストリング・コーナー」と続き、宇宙戦艦ヤマトやひょっこりひょうたん島などテレビで有名な曲「映画やテレビで」。荒城の月、シクラメンのかほり、秋桜などの「私の好きな歌」の後、フィナーレでは「川の流れのように」を出演者全員で歌い、来場者は総立ちで万雷の拍手を送った。
 三時間の公演が終わると、会場からはアンコールが巻き起り、全員で「ふるさと」を大合唱。興奮冷めやらないまま、幕を降ろした。
 来場していた池田徳子さん(64、二世)は「初めから感動しっぱなしで涙が止まらなかった。全部知っている曲で懐かしくて、心に染みた」と嬉しそうに語った。
 ダンスを担当していた那須美恵子さんは「練習の時にブラジルの人たちは盆踊りをしていると聞いていたので、とても緊張した。でも、温かい心で見守ってくれたので、気持ちよく踊れた」と感激した様子。
 歌手の中村まゆ美さんは「日本にいるみたい」と高揚した様子で話し、「参加者の人たちが一緒に歌ってくれて本当に良かった。ここまで来て良かった」と涙を浮かべながら語った。
 藤原興人実行委員長は「用意が大変だったけど、一世の人たちに見せてあげたかったので、良かった。大成功だった」と満足げに話した。

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