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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年3月4日付け

 日本と韓国は近い。対馬と釜山は49・5キロしかない。海が荒れると怖いけれども、天気が良ければ双方から見えるそうだ。そんな至近さもあってか、対馬を訪れる韓国からの観光客は後を絶たない。島にはハングルの看板が立ち並び、さて対馬は何処の国だっけ?と迷うほどらしい。仏教の伝来も、桓武天皇の母も百済系であり、日韓の交際は古い▼金達寿の「日本の中の朝鮮文化」は、各地に生き続ける朝鮮の文化を余すところなく描いているが―往古から両国の付き合いは深く、日本の文化も半島から受け継いだものがいっぱいある。大和朝廷は任那に日本府を設置もしたが、事の良し悪しは置くとして―二つの国の関係は糾える縄の如しなのでる▼だが―戦後になると、李承晩や金大中、濾武 政権のように言わば「反日政策」を掲げる傾向が強まる。真に遺憾としか申しようがないけれども、平均的な国民レベルの親近感は強まるばかりである。韓国から日本に来る観光客は1年に250万人を超え、日本からも修学旅行で慶州を訪ねソウルを目指す人々も多い。この庶民と反日政府との乖離をもっと重く見ていいのではないか▼そんな韓国に新しく李明博大統領が就任した。保守派をもって任じ日米と親しくする外交方針を表明し、福田首相も駆けつけてお祝いしたし、近く訪米しブッシュ大統領とも会談する。実業家として成功し政治家に転じた人であり、世の実態を良く知り、これを政治にどう活用するかである。外務大臣に元駐日大使を任命するなど閣僚人事でもやる気十分である。日韓親密さの増大に大いなる期待を寄せたい。(遯)

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