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「ゴリラのように逞しく=神のごとき愛と英知を」=東農大卒業生=アマゾン移住50周年記念誌発行

ニッケイ新聞 2008年3月8日付け

 『東京農大卒業生アマゾン移住50周年記念誌』―ゴリラのように逞しく、神のごとき愛と英知を―(一九五七~二〇〇七)がこのほど、ブラジル東京農大会北伯分会(山中正二分会長、現会員三十五人)から発行された。A4版、百二十二ページの労作である。
 内容は、ほとんどが北伯分会会員の小自分史的な随想、他に母校の教授たちの寄稿文、報告、座談会「軍艦組三人、移住生活五十年を語る」、写真集。
 自分史的な随想には、〃よき時代〃の「バンカラ風」がにじみ出ている。よき時代は「辛酸をなめた時代」でもあった。しかし、それは今も掌中の珠である。今は、若い世代には受け入れられないかもしれない。自分たちだけが、言わず語らず、理解し合える雰囲気なのである。
 山中分会長は、発刊あいさつに書いた。「アマゾンの地に足を下ろした我々の仲間は、(帰化して)ブラジル政府機関、日本政府機関、民間会社、農業組合、入植地建設、自営など広範囲にわたって活躍し、東京農大と母国の名誉のために、そして養国の発展のために汗を流してきた」。これは強烈な自負である。記念誌の副題にあるように、バンカラを誇りとし、ゴリラのように逞しく、一方でクールブレイン(覚めた頭脳)を保持し続け、自身が選択した仕事に励んできた。
 東京農大と北伯との縁は、第四代学長の千葉三郎氏が、一九二九年、アカラ植民地建設に取り組んで以来である。三一年には卒業生が初めて高拓生とともにパリンチンスに入植している。戦後は五六年に一人が家族移住、五七年に坂口陞さんら三人が、同大学の戦後移住者第一陣として、ブラジル軍輸送艦に乗って来伯、この年から〇七年が五十周年に当たる。

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