ホーム | 日系社会ニュース | 「移住者に故郷感じてほしい」=冴木さんサンパウロ市公演に意欲

「移住者に故郷感じてほしい」=冴木さんサンパウロ市公演に意欲

ニッケイ新聞 2008年3月8日付け

 日本ブラジル交流年実行委員会の公認事業の一つとして、九日午後六時からSESC・ヴィラ・マリアナでコンサートをおこなうタンゴ歌手の冴木杏奈(さえき・あんな)さんが七日、サンパウロ市内のホテルで会見し、公演への意気込みを語った。
 「日本人の移住者の方々に故郷を懐かく感じてもらいたい」という想いから、今公演は特別プログラムで編成。前半部では浴衣姿で登場し、タンゴにアレンジした日本の歌曲を披露。「中国地方の子守唄」や「ラ・クンパルシータ」をスペイン語で、スペイン語の曲に日本語を織り交ぜた「カミニート」、オリジナル曲も多数歌う。
 タンゴの歌詞は「演歌と似ているところがある」と冴木さん。その違いを聞かれて「内に秘めた悲しさや苦しさをエネルギーにして外に力強く表現するのがタンゴの特徴で魅力です」。
 完璧と評される冴木さんのスペイン語は「そこそこ」と謙遜しながらも「少しずつ覚えました」。〃本場〃のレベルに少しでも近づけたいと、ブエノスアイレスで発音矯正を受けるなど、訓練を重ねている。タンゴの日本語訳も自身で行っている。
 十年ほど前から欧州やアメリカ、韓国、中国など世界各国で公演活動を続ける。チケットは毎回完売。先日アルゼンチン、コルドバ市でおこなった公演も超満員だったという。地元の新聞社三紙も写真付きでインタビュー記事を大きく掲載し、その才能を絶賛。同国のプロ評論家の間でも、「スペイン語でも日本語でも響きがいい。表現力もオリジナル性も豊か」と好評だ。
 初めて訪れたブラジルの第一印象は「車が多くて東京のように大都会」。移民百周年の年にブラジル公演することに「大変嬉しく誇りに思う。この機会に移民の歴史などを学んでいきたい」と話した。
 冴木さんは今年デビュー二十周年。ブラジル公演後は、初公演となるロシアをはじめ、ドイツ、フランス、韓国、ベトナム、米国などをツアーでまわる。

image_print