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ブラジル人児童の支援広がる=呉市=地域で放課後学習や保護者会

ニッケイ新聞 2008年3月18日付け

 【中国新聞】文部科学省の帰国・外国人児童受け入れ促進事業で、広島県内唯一の対象自治体となった呉市で、在日ブラジル人児童を支援する取り組みが進んでいる。センター校に指定された白岳小(広駅前)ではボランティアらが約一年間、放課後に児童の学習をサポートしてきた。保護者会を開いて親の不安を取り除く活動も続ける。
 市内の小中学校には外国籍児童が約百人おり、うち約七十人がブラジル人。日本語での授業や友人関係になじめず不登校となるケースもあり、学習支援や居場所づくり、日本語での意思疎通が苦手な保護者への支援が課題となっていた。
 事業の運営主体として、市教委や市国際交流広場などの行政機関、外国人支援の市民グループなどが「地域連絡協議会」を設置。学校や地域に分散していた外国人児童の支援活動を束ねた。来春まで二年間かけて地域ぐるみの支援体制のあり方を調査研究する。
 市内最多の二十六人のブラジル人児童が通う白岳小では、昨年五月末に「放課後クラブ」を開始。バイリンガル講師や学生らスタッフ八人が週二回、宿題を手伝うほか、ブラジルの絵本や音楽など母国の言語や文化も紹介している。保護者会は三回開き各四十―五十人が出席。「子どもが勉強についていけない」などと不安を漏らす親に、市の生活相談員らが解決方法を伝えた。
 竹越哲夫校長は「保護者と学校、地域が一つになって動けるメリットは大きい」と手応えを話す。市教委は四月以降、放課後クラブを三校に増やし、より広域的な活動を進める。(桑原正敏)

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