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人文研総会=独自プロジェクト検討へ=理事に役付け、活性化図る

ニッケイ新聞 2008年3月20日付け

 サンパウロ人文科学研究所(本山省三理事長、人文研)の定期総会が十三日午後、同研究所会議室で開かれ、理事、会員ら約十人が出席した。
 〇七年度事業報告では、「ある日本人農業移民の日記が語るーブラジルにおける日本農業移民像ー」(西川大二郎、三月)、「鈴木悌一ーブラジル日系社会に生きた鬼才の生涯ー」(鈴木正威、八月)の出版が報告された。
 資料の分類・整理に関しては、昨年七月に着任したJICA青年ボランティアの横尾悦子司書が作業を進めており、来年度からはデータベース化を進める。
 なお、昨年一月に開設されたホームページの効果などが評価され、企画・内容の充実化を図ることとなり、昨年十月から不定期に催している勉強会を、事業として拡充を図る考えだ。
 〇八年度の事業計画案では、人文研が発行している百年叢書「日系コロニア文芸」(下巻、安良田済、大浦文雄著)、「ブラジル日本移民史」(本山省三著)を予定。
 会計報告では、昨年度の収支一一万三八六〇レアル、予算案一〇万八〇〇〇レアルが承認された。
 研究員の育成について、清水裕美理事は、「長年いない状態が続いていた研究生を呼ぶ具体案はあるのか」と質問、所長が不在となっている現状にも疑問を呈した。
 それに関し、脇坂顧問は、経済的な理由や体制の不備などを挙げ、ブラジル政府機関からの助成を検討していることを明かした。
 本山理事長は、「日本語だけでなく、ポルトガル語の研究も必要」としたうえで「人文研独自のプロジェクトを立ち上げてはどうか」と提案、検討されることとなった。
 なお、役員の改選が行なわれ、今年度からは理事にそれぞれの担当をつけることで、事業などの活性化を図ることも承認された。八年間会計理事を務めた鈴木氏には拍手が送られた。
 現在、人文研で研究活動を行なっている関谷融(長崎県立シーボルト大学教授)、佐々木剛二(東京大学大学院博士課程)各氏がそれぞれあいさつした。
 【顧問】脇坂勝則、清谷益次、宮尾進【理事会】理事長=本山省三、副理事長=菊池マリオ、第一常任理事=田中洋典(研究、広報、総務)、第二常任理事=森幸一、第一会計理事=辻哲三(財務)、第二会計理事=古庄雄二郎(同)、理事=田中慎二(出版・編集)、清水裕美、細川多美子(HP担当)、長嶺マリウダ、高山直巳、鈴木正威(資料整理)【監査役会】正監査=森田左京、森脇礼之、古杉征巳、補欠監査=トッパンプレス、山本商会、フォノマギ書店。

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