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トヨタ10代目カローラを発表=インダイアトゥーバに大型投資=年産7万台、シェア奪還めざす=長谷部社長「若者にも支持うける」

ニッケイ新聞 2008年3月27日付け

 トヨタ自動車の南米現地法人メルコスル・トヨタ(長谷部省三社長)は二十五日、バイオエタノール混合率一〇〇%燃料に対応する新型カローラ三種を発表した。高級感と優雅さを前面に打ち出したデザインが売りで、全伯百二十二ある代理店を通じて二十八日から販売、南米各国への輸出もすすめる。中心車種の販売価格は約七万五千レアル。好調なブラジル経済をふまえて一定の富裕層をターゲットに、シェア拡大をねらう。
 同日、サンパウロ市のクレジカード・ホールで記者会見した長谷部社長は、「現状のカローラユーザーの要望に応えながらも、新たに若者の支持をうけるデザインだ」と述べ、新車種の投入に大きな自信を示した。
 ブラジル自動車市場は、好調な経済伸張とインフレ抑制政策などが後押して、昨年は前年比二八%増の約二百八十万台を記録。二〇一〇年には、三百万台を突破する見込みだ。また、二九%増の十六万六千台を昨年記録した中型セダン分野でも市場拡大が期待される。
 同社は今回の新モデル投入により、ブラジルでのカローラ販売を昨年比五〇%増の年間五万台をめざす。すでに生産拠点のサンパウロ州インダイアトゥーバ工場に、二億六千八百万ドルを投資。生産ラインを拡張し、現状の年間六万二千台から、七万台まで生産能力を引き上げた。
 カローラは一九六六年の発売開始から世界各国で累計約三千三百万台を販売する中型セダン分野の代表車種。ブラジルには〇二年から投入され、〇六年まで五年連連続で同型の販売トップシェアを維持。昨年は新型シヴィックを発表したホンダにその座を譲ったが、今回の新車種投入で巻き返しをはかる構えだ。
 新発表した十代目カローラは、搭載設備別や価格別に「SE-G」「XEi」「Xel」の三種。中心車種の「XEi」(AT車・皮仕様)は価格七万四千五百レアル、マニュアル式は七万レアル前後。九代目より一万レアル以上高い。それぞれ白、ベージュ、緑、青、グレイ、シルバー、黒の七色を用意した。(SE-Gは白なし)
 新型では、サスペンションや電気系統を変更、車高を下げたスリムな設計にし、低振動、高速走行での安定性や静音性を高めた。また、サイドを含めたエアバックを四つ備え、ヘッドライトの自動点灯機能など、安全面も強化。車幅を五五ミリ伸ばし、車内空間も最大限に増やしている。
 車両保証は三年。走行距離五千キロで最初のオイル交換、一万キロで最初のメンテナンスの目安になる。
 記者会見では、長谷部社長、板垣恒夫副社長、ルイス・カルロス・アンドラーデ副社長、奥平総一郎ECE(エグゼクティブチーフエンジニア)が参加。百人以上のブラジルメディア関係者が出席した。会見で重ねて出された新工場設立案の質問に、長谷部社長は「検討中」とだけ述べた。

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