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8割が日系人のブラジル貢献を評価=外務省・対日世論調査=「両国の架け橋」と認める=「日伯関係は友好的」74%=3都のブラジル人1千人を対象

ニッケイ新聞 2008年4月15日付け

 移民百周年(日伯交流年)の機会に、日本国外務省が今年一月に行った「ブラジルにおける対日世論調査」(十一日発表)によれば、七四%が日伯関係は友好的であると考え、約九割が今後の両国関係は強化・維持されると認識していることがわかるなど、ブラジルにおいて日伯関係は非常に肯定的なイメージがあることが改めて確認された。このような日本に対する高評価の背景として、日本のブラジル経済発展への貢献(七二%が肯定回答)に並んで、日系人のブラジル社会における貢献(八一%が肯定的回答)が大きな要因であることが示された。日伯の架け橋を任ずる日系社会の面目躍如ともいえそうな調査結果となった。
 ブラジルの民間調査機関IBOPE社に依託し、サンパウロ、リオ、ブラジリアの三都における一般市民約千人に対面調査する形で今年一月に実施した。
 「日伯関係」では、七八%が日本を信頼すると回答している。
 四六%がアジアで将来有望視できる国として日本を挙げており、中国の四五%、インド一一%を上回る。ブラジルが関係強化すべき国として、米国の四五%についで日本(三四%)を挙げており、中国は二〇%だった。
 経済関係においては、七二%が日本はブラジルの経済発展に貢献していると考えている。九一%が日本企業のブラジル進出を歓迎している。
 よく知られている国として、米国(七八%)についで日本(五八%)、中国(二七%)があげられた。日本に関する情報源はテレビ(七二%)、インターネット(三〇%)が多い。
 日本に期待することとして科学技術の知識(四六%)が最も高い。日本文化の中で最も関心がある分野は日本料理(三一%)が最多で、日本建築と日本庭園(二五%)、スポーツ(二二%)となっている。
 日本人に対するイメージは献身的・努力家(四五%)、能率的(三七%)、礼儀正しい(三五%)となっている。
 在伯日本人について、六九%がブラジルに適応してブラジル人とよく共存していると回答。これを地域別に見ると「よく共存している」がブラジリアで七三%、ついでサンパウロが七〇%、リオが六六%。逆に「日本人のグループとのみ付き合っている」がリオ三二%、サンパウロ二八%、ブラジリア二一%。首都の共存度の高さが伺われる。
 「ブラジル在住の日本人移住者およびその子孫のブラジル発展への貢献度」では、八一%が日系人はブラジルに貢献していると答えている。
 地域別に見ると「非常に寄与している」が一番高いのはリオ(三七%)、ブラジリア(二六%)で、サンパウロは平均を下回る一九%。「ある程度寄与している」だと最高はサンパウロ(五八%)、リオ(五三%)、ブラジリア(五一%)となる。
 逆に、「まったく寄与していない」ではサンパウロが一一%と不名誉な一位を頂戴し、次はブラジリア五%、リオにいたっては一%となっている。
 十一日の商議所昼食会でこの内容を発表した西林万寿夫在聖総領事は「ブラジルが日本を高く評価していることを、おおいに日本側に伝えていきたい。このような数字の背景には日系人の存在は大きい。日伯関係は明るい展望にある」とコメントした。
 一方、昨年二月に日本全国の成人男女二千人に対して行われた「日伯関係に関する意識調査」では、日伯の両国関係に関しては「良好だと思う」が三〇%ていどで、ブラジルやブラジル人に対する親しみの有無を問う項目に関しては、「親しみを感じる」が二三%だったにも関わらず、「親しみを感じない」が二八%にもなっていた。
 この両者の結果と考え合わせ、西林総領事は「ブラジルから日本に片思いの印象がある。百周年を機に是正していきたい」などと語った。

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