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「江戸の工芸」展いいスタート=日本文化=効果的にアピール=青木文化庁長官「来た甲斐あった」=6月22日まで州立美術館で

ニッケイ新聞 2008年4月23日付け

 【既報関連】日本文化庁とサンパウロ州立美術館(ピナコテッカ)共催の「色彩の開花・江戸の工芸(O Florescer das Cores:A Arte do pariodo EDO)」の開幕式などに出席するため、十四日から滞伯していた青木保文化庁長官が十七日、在聖総領事館で記者会見した。八百人もの来場者が駆けつけたオープニングを振りかえり、「いいスタートを切ってくれ、ブラジルまで来た甲斐があった。展示空間も美しく工夫されている。たくさんの人に観に来て頂きたい」と笑顔。「国際関係のなかで日本文化をアピールすることが国力になる」と強調した。
 同展は三年前から準備を進めてきたもので、中南米地域でこれだけの規模の日本古美術展が開催されるのは初めて。江戸時代(一六〇四―一八六七)の工芸品、武器・武具、陶器などを中心に、国宝一点、重要文化財八点を含む貴重な美術品ばかり。
 今後の日伯間の文化交流については、若者主体の交流が必要と述べ、日本からはマンガやアニメ、ゲーム、IT分野などを統合した「メディア芸術」を、ブラジルからはファッションや現代作家などの独自の表現文化を日本で紹介するなどの考えを示した。
 ブラジル文化の多様性には、治安面での不安を指摘したうえで、「ヨーロッパの色彩とブラジル独自の要素、これに日系の要素が混ざって独特の雰囲気がある。潜在的なオーラを感じさせる」と述べた。
 同展の事前準備にあたった齋藤孝正・文化庁主任文化財調査官は、「海外での展覧会開催は日本美術の扱い方や文化的背景を(美術館関係者などに)知ってもらう意味でも、一つの文化交流になる」と説明した。
 同長官は訪伯中、慰霊碑に献花、日本館訪問や移民史料館を視察。上原幸啓文協会長ら日系団体代表と懇談した。十六日訪れたリオでは、「本場のボッサ・ノヴァを堪能できた」と満面の笑み。「シュラスコも肉を噛み締めて食べれば食べるほど美味しい」と大絶賛した。
 「是非またブラジルを訪れたい」と同長官。十八日、帰国の途についた。
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 「色彩の開花・江戸の工芸展」は六月二十二日まで開催。開場時間は午前十時から午後六時。月曜休館。入場料四レアル(土曜日は無料)。会場(州立美術館)住所=Praca da Luz,2、電話=11・3324・1000

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