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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年5月24日付け

近頃の邦字紙にも「借金大国ニッポン」の報道が載るし、余りの巨額さに驚く向きも多い。去る4月に発表された数字によると、政府が発行した国債の総額は1068兆367億円2463万円だそうである。これを国民1人当たりにすると、70万円ほどになる。つまり乳幼児から寝たきりのご老人までを含めた1人、1人が70万円の借金を背負っている計算になる▼日本の国家予算は80兆円ほどだからー国債残高がいかに大きいかがわかる。この天文学的な借金に仰天した人々は「死に体」と嘆き悲しみ「世界一の借金大国」と評する御仁もいるから決して他人事ではない。しかも、国債は現在も発行されており、どのように返済し解決するかのきちんとした計画が有るのか無いのか。勿論、霞ヶ関の頭脳にはしっかりした見通しが描かれているのであろうが▼仮に1万円の税金があるとする。このうちの2000円ほどが、国債の償還と利子返済に払われているのが現状なのである。医療費と社会福祉や公共事業の予算よりも多いのである。教育と科学文化と防衛省の予算は一般会計の10%にもなっていない。これは明らかに財政上の歪みであって政治家らと官僚たちは健全なものに是正すべきは論を待たない▼衆参の議員は、これに関連した話になると、決まって「子孫に借財を払わせてはならない」と語り、拍手喝采を受ける。その一方では「道路建設が命」と叫び、建設資金の予算獲得に走る回り、官庁のかなりデタラメな支払いもいっぱいある。「借金を残すな」は正論だけれども、これの実現は難しい。(遯)

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