ホーム | 日系社会ニュース | 邦楽中南米公演=尺八、箏の音色に包まれ=伝統と斬新さで観客魅了

邦楽中南米公演=尺八、箏の音色に包まれ=伝統と斬新さで観客魅了

ニッケイ新聞 2008年8月26日付け

 国際交流基金の文化芸術交流事業「邦楽中南米公演」のサンパウロ公演が、十五日にサンパウロ市文化センターで行なわれ、約二百人が日本の音色に聞き入った。
 来伯した尺八奏者の三橋貴風さん、箏奏者の吉村七重さん、三弦奏者の檀野未佳さんの三人と、日本で十年以上修業した経験のあるブラジル人尺八奏者のシェン・リベイロさん、箏奏者でもある国際交流基金の続木エルザさんとの特別共演も行なわれた。
 初めに「鶴の巣篭」や「末の契り」など伝統的な古典音楽を披露。一階の客席はステージと同じ高さになっており、奏者の指使いにじっと見入るようにして静かに響く音色を堪能していた。
 吉村さんは日本でも珍しい二十絃箏を演奏。一般的に使われている十七絃箏よりも、音域の幅が広がりグローバルな世界観が表現できると、吉村さんは話す。
 後半は「七重」や「竹籟(ちくらい)五章」など近代の楽曲へと変化を見せ、斬新なメロディーだけでなく古典楽曲とは違った楽器の使い方が観客を魅了した。斬新さに驚く観客の声も聞かれ、七曲の演奏全てが終わると満場総立ちで拍手が送られた。
 会場を訪れた小倉祐子・筝曲宮城会代表は公演後、「とても綺麗。後半は印象的で和楽器の可能性が見ることができ、勉強になりました」と感想を述べた。
 またこの日は、吉村氏の親戚にあたる谷口範之さん(83)家族四人が来場し、吉村さんとの初対面を果たした。吉村さんの従姉妹にあたる有賀真弓さん(54、二世)は「会えて嬉しいし演奏も感動しました。すっかりファンになっちゃった」と興奮を表し、初対面の時を満喫していた。

image_print