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ニッケイ新聞 2008年10月04日付け

 移民百周年、日伯間定期便就航三十周年を記念して行われたJALの遊覧飛行「翼が結ぶ日伯交流」。定員二百人のところに約五百人が応募してくるほどの人気ぶり。応募者の中には、本紙に募集記事が掲載された翌朝、始業より早くJAL支店を訪れたり、飛行機の絵を書いて申し込んだ人もいたのだとか。
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 サンパウロ市東部地区の日本人家族が集中的に狙われている家屋侵入強盗事件。犯行グループの中心である未成年の少年たちは、強盗や傷害をしても、憲法二百二十八項に基づく未成年犯罪に関する法律により、逮捕・拘束されない。そのため、被害者の通報を受けて警察が現行犯で少年らを捕まえても、すぐに身柄は解放され、両親に引き渡されるという。少年たちも、この法律を知って犯行を繰り返しているだけに被害者からすればやるせない話だ。
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 フリー百科事典『ウィキペディア』によれば、芥川龍之介は一九一九年に、山本喜誉司の姉の娘である塚本文(ふみ)と結婚している。文協創立者のあの山本だ。意外な関係に驚く。また谷崎潤一郎の妹・伊勢さんがブラジルに移住しているのは有名な話だし、ベストセラーとなった『ムサシ』の翻訳を手掛けた後藤田怜子さん(二世)も谷崎の姪だ。コロニア文芸界と日本文壇の血縁関係は意外に深い?
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 安良田済さんによれば、一般的に最も評価が高いコロニア作家といわれるのは藪崎正寿さん(故人)だという。特に『恋文』は日本の「新潮」一九六五年十二月号に「新人文学賞最終候補十一編」の中に推された作品で、安良田さんは「日本で認められた移民の小説の第一号である」(百十七頁)と記す。一方、宮尾顧問の一番のお薦めは高野耕声(本名・芳久、元県連会長)の『野生』だという。これら名作が簡単に読めるように、選集の再版も望まれるところか。

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