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在外被爆者が賠償求め提訴=ブラジル・米の163人

ニッケイ新聞 2008年10月8日付け

 【共同】国内に居住していないため被爆者援護の枠外に置かれ、精神的苦痛を受けたとして、ブラジルと米国の被爆者と遺族計百六十三人が国に一人百二十万円、計約一億九千万円の賠償を求め六日、広島地裁に提訴した。
 二千人を超す在韓被爆者も大阪、広島、長崎の三地裁に順次提訴していく方針で、在外被爆者をめぐる集団訴訟としては過去最大規模となる。
 訴えたのは、ブラジル被爆者平和協会の森田隆会長(84)らブラジルの八十人と、遺族二人を含む米国の八十三人。いずれも被爆後に出国した。
 訴状によると、出国した被爆者は手当の受給権を失うとした旧厚生省局長通達(402号通達、二〇〇三年廃止)により、来日しての手帳交付や手当の支給認定は経済、健康的負担が大きいとして断念するなど苦痛を強いられたとしている。
 通達の違法性を認めた韓国人元徴用工の国賠訴訟判決が最高裁で確定したのに伴い、厚生労働省は八月、国賠訴訟を起こし裁判所が認定すれば一律、慰謝料百万円などを支払う方針を決めた。
 提訴後、会見した被爆者側の足立修一弁護士は「国は争うことなく速やかに和解に応じてほしい」と話した。

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