ホーム | 日系社会ニュース | 宮城の敬老祝い金終る=百人訪れ最後の支給式=中沢会長「母県へ感謝忘れず」=36年間で計2億円=敬老会は来年以降も

宮城の敬老祝い金終る=百人訪れ最後の支給式=中沢会長「母県へ感謝忘れず」=36年間で計2億円=敬老会は来年以降も

ニッケイ新聞 2008年10月28日付け

 三十六年の歴史に幕――。宮城県がブラジル宮城県人会(中沢宏一会長)に対して一九七三年から続けてきた敬老祝い金が、今年で打ち切られた。四十七都道府県人会で唯一、一定の高齢者全員に対して送られてきた宮城の敬老祝い金。最後の支給式となる「第三十六回ブラジル宮城県人会敬老祝賀会」が、二十六日午前十時から同県人会で行われた。中沢会長は祝賀会のあいさつで「母県からの温かい敬老金に対して感謝している」と落着いた表情で話した。なお、来年以降は敬老祝賀会のみ続けていく予定。
 宮城の敬老祝い金は、七三年に始まり、三十六年間続けられた。合計金額は約二億円にのぼるという。
 当初は二万円だったが一昨年から五千円に減額。県人会では数年前から母県に対して延長申請をしてきたが、三年前の通達によって今年で敬老金が打ち切られることになった。
 今年は、受給者の対象である七十歳以上三百五十四人に対して五千円(一〇九・二七レアル)が送られた。
 今回の祝賀会には対象の受給者約百人が出席した。百四歳の浜田敬三さん、百歳の川村さだよさんも元気な姿を見せた。
 祝賀会では、先亡者に対する一分間の黙祷に続いて、中沢会長は今年盛大に式典を開催できたことに喜び、「長寿を祝って、健康を祝して敬老祝賀会が行われている。母県からの温かい敬老金は県民の税金から渡されているもので、そのことを忘れず胸に秘め、感謝の気持ちと母県との関係を忘れずにいてほしい」と来場者に語りかけた。
 今年敬老金受給年齢となった四人が紹介された。受給者を代表して相沢弘二相談役は、「記念すべき年に敬老会が行われ、高齢者に祝い金が渡されることに、心から強く感謝している」と喜びを表した。
 その後、新規受給者を代表して大橋尚副会長は「母県からの敬老祝い金はふるさとを思いださせるもの」と懐かしさを滲ませながら話し、「自分たちが最後の年で心苦しい。金額に関わらずあと十年ぐらいは続けてほしい」と訴えた。
 今回出席していた八十八歳以上の高齢者の名前が読み上げられ、九十五人中出席していた十五人に対して祝い金が手渡された。
 最後に「さんさ時雨」を参加者全員で合唱し、石田俊郎副会長の閉会のあいさつで、敬老祝賀会は終了し昼食会が行われた。昼食後は、カラオケや踊りなどの慰安演芸会で来場者たちは楽しい時間を過ごした。
 昨年に引き続き会場に足を運んだ浜田さんは敬老金を受け取ったことに関して「本当にありがたいこと」と笑顔を見せていた。

image_print