ホーム | 日系社会ニュース | コロニアに届いた汗と感動=百周年公演「先人に捧ぐ」=雪村、沢さん熱唱・熱演=涙あり笑いありの3時間=迫力あふれる助六太鼓=宝塚OG華麗に舞う

コロニアに届いた汗と感動=百周年公演「先人に捧ぐ」=雪村、沢さん熱唱・熱演=涙あり笑いありの3時間=迫力あふれる助六太鼓=宝塚OG華麗に舞う

ニッケイ新聞 2008年11月11日付け

 美空ひばり、江利チエミとともに〃三人娘〃として人気を呼んだ歌手・女優の雪村いづみさんや大衆演劇の第一人者、沢竜二さん、宝塚歌劇団のOGらを迎えた記念公演「先人に捧ぐ―汗と感動のグランドステージ」(ニッケイ新聞社主催)が八日、サンパウロ市文協大講堂で行われた。来場者数は午前・午後の二公演で約二千人。雪村さんの情感たっぷりな歌声、沢さんやその劇団メンバー「竜劇隊」の熟練の芝居や殺陣、宝塚OGの華やかなダンスに助六太鼓の迫力ある演奏など、バリエーションに富んだ約三時間の舞台に、観客からは毎回溢れんばかりの大きな拍手が巻き起こった。
 沢さんがやくざ者の用心棒・雁九郎と針治療師・沢市の二役を早替りで演じた第一部「お里沢市」。昔から歌舞伎、浪曲などで知られる「壷坂霊瞼記」を沢さんが独自に脚本化したもので、幕末期の風習と夫婦愛を涙と笑いで演出した。
 「ノン・オブリガード」「ドイス・レアイス」「ヴァーモス・フジール(〃逃げましょう〃の意)」など、随所にポ語のセリフを交えて、会場から大きな拍手と笑いを誘った。
 「竜劇隊」の迫力ある立ち回りほか、沢さんと長年の知り合いでコロニア芸能の第一人者、丹下セツ子さんも吉野の芸者と観音の二役で登場し、盛り上げた。
 第二部は雪村さんのコンサート。冒頭のあいさつで、「三人娘も私一人だけになった。これは人生で一番寂しいこと」と雪村さん。「いつも二人を忘れることはない」と感極まった表情で話したうえで、デビュー曲「思い出のワルツ」やヒット曲「ブルーカナリア」、美空ひばりの「悲しき酒」、江利チエミの「テネシー・ワルツ」など、往年のヒット曲、計十三曲を情感たっぷりに歌い上げた。ピアノ伴奏した杉山英太郎さんのソロも会場を多いに沸かせた。
 ショー「日本の情景」と題した第三部。助六太鼓の迫力あるオープニング演奏に続いて、宝塚歌劇団OGの麻乃佳世さん、五条まいさん、二葉かれんさん、かずゆうとさんが、華麗で一糸乱れぬ踊りと歌唱を披露。男性客も前のめりになって拍手した。
 丹下さんの黒田節や沢さんや竜劇隊、第一部でお里役を演じた岡本茉莉さんらの立ち回りから、出演者総出で美空ひばりのヒット曲「お祭りマンボ」をテンポ良く歌い踊った。最後に沢さんと雪村さんが「マイウェイ」をそれぞれ熱唱、感動的に幕を閉じた。
 観客の斎藤茂正さん(78、サンパウロ市在住)は一歳で渡伯した準二世。「雪村さんのことを美空さん、江利さんと活躍している時代から見て応援してきた。とても楽しくいいショーでした」と笑顔を浮かべていた。

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