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コロニアの日本語を研究に=カンピーナス=米テキサス大の佐久間さん=デセギとの出会いが縁で=親戚との出会いも=「一生研究続けたい」

ニッケイ新聞 2008年12月5日付け

 米国のテキサス大学オースチン校言語学部博士課程で社会言語学を専攻している佐久間友子さん(29、千葉県出身)が、二度目の長期ブラジル滞在を終えて十一月十二日に帰米した。佐久間さんはカンピーナス文協を拠点とし、「日系人アイデンティティの言語と文化」をテーマに研究。帰国前に来社し、研究の報告と抱負を語った。
 五年前に「デカセギの言語習得」をテーマに修士論文を書き始めたことから、ブラジルと縁ができたという佐久間さん。当時はテキサス大の修士課程で、論文のテーマ探しに日本へ帰国した際、デカセギに出会い調査を始めた。
 修士後もそのまま同大学の博士課程に進んだ佐久間さんは、ブラジルへ一年間留学した。二〇〇五年六月から半年間はミナス連邦大学、後半はカンピーナス大学に席を置いた。
 二度目のブラジル滞在となった今回は、博士論文のために今年五月から半年間カンピーナス文協を拠点に、「日系人アイデンティティの言語と文化」というテーマで研究。毎日のように同文協に顔を出し、孫や娘のように可愛がられ、また友情も生まれたという。
 そんな佐久間さんは、ブラジルに来て初めて日本舞踊やカラオケ大会にチャレンジ。「ブラジルに来て良かったと思うことの一つは、日本の伝統文化にたくさん触れられたこと」と笑顔。「思っていた以上に色濃く残っている」と感想を述べた。
 研究の成果は上々なようだ。文協でグループ活動に参加したり、また会話したりする中で多くを発見した。例えばあいさつをする時、相手によってお辞儀とアブラッソを使い分ける。「アイデンティティの表れ方が相手によって変わる。自分と相手がいてこそのアイデンティティなんです」
 また、デカセギの話す仕事に密着した日本語と、コロニアに残る継承言語の比較も興味深かったという。
 今回のブラジル滞在は研究や資料集めに費やし、今後分析やまとめの作業をしていく。「一生この研究は続けてゆきたい」。大学院を卒業後は、北米の大学などで就職したいと目標を話していた。
 最後に、来伯が決まって初めて知ったという遠い親戚の吉橋陽一さん、八代江さん夫婦(グアルーリョス在住)や、カンピーナス文協でお世話になった人たちに感謝を述べていた。

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