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国民文化祭・いばらき2008年=ブラジル俳句、存在示す

ニッケイ新聞 2008年12月27日付け

 一般公募の文芸・美術作品の展示や、開催地独自のイベントを行う日本最大の文化・芸術の祭典『第二十三回国民文化祭・いばらき2008』が十一月一日から九日間にわたり、茨城県内各地で行われた。文芸祭の俳句部門にブラジルからの多くの作品が入賞・入選した。全応募者数二千二百六人のうち、ブラジルからの応募者は百五十六人(八百八十四句)。県・国別では、茨城、山口に次ぎ第三位の投句数となり、俳句大国の存在感を見せつけた。入選・入賞作品を以下に掲載する。
■大賞作品
◎茨城文化団体連合会長賞「赤とんぼふる里があり歌があり」(畠山照枝)
◎茨城県俳句作家協会賞
「味噌を搗き俳句もつくり二世妻」(佐藤孝子)
◎茨城県現代俳句協会賞「百年の移民史照す初明り」(原田清子)
■特選賞
 「肋骨のごと幹掻いてゴム採りし」(栃沢千秋)、「百年の移民史照す初明り」(原田清子、大賞作品)、「花咲かせ日本庭園出来上る」(細梅外史)、「春愁や日本語云はぬ孫といて」(須賀厚子)、「相似たる身の上話移民祭」(広田幸)、茨城県俳句作家協会賞、「味噌を搗き俳句もつくり二世妻」(佐藤孝子、大賞作品)、「奴隷市たちし広場に潅仏会」(身吉尚子)、「百年ははるかな月日ジャカランダ」(吉崎貞子)、「合歓の木の露の重さにまだ覚めず」(小西茂子)。
■入選作品
 「長命も悪くはないと生身魂」(名和喜美子)、「日本語を忘れずに来て虚子祀る」(小斎棹子)、「万緑のアマゾンにビル建ち進む」(長島裕子)、「銀河濃し偲ぶふるさと失せず老い」(鈴木達夫)、「日本に逢いたく朝顔蒔いており」(新井知里)、「鰯雲地平の果も大豆畠」(栗原章行)、「嚏して襟元ただす翁かな」(大橋松代)、「風邪引くな転ぶなで切る子の電話」(名越つぎを)、「移民五十年親族十基の墓洗う」(三宅昭子)、「ぼうふらもアマゾンの水母として」(上山泰子)、「幼時より二国になじみ文化の日」(畠山照枝)、「ポインセチア引き立てており写真館」(串間イツエ)、「ひたむきに生きてアマゾン移民の日」(三宅昭子)、「母の日や七人の子の電話受く」(猪野ミツエ)、「百年の月日の重さ移民祭」(富樫雄輔)、「Tシャツは日本の文字夏に入る」(須賀厚子)、「移民祭牛飼いになり移民古る」(鈴木政徳)、「牛が伏す程の大きな蟻の塔」(佐藤孝子)、「パスポート受け取りに行く小春かな」(山口ふみ)、「牛売られ牧場たちまち草茂る」(吉田夏絵)、「百年の日本移民史天高し」(吉野嘉一)、「熱燗で移住当時の飢餓話」(吉野幸輔)、「パパの国さくらいっぱい楽しいな」(くどうチーナ)。

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