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完成近づく千葉県人会館=9年越しの夢、あと一歩=「多くの人の交流の場に」=最後に資材高騰の壁

ニッケイ新聞 2009年1月8日付け

 ブラジル千葉県人会(原島義弘会長)の九年越しの夢だった「独自の会館建設」の実現がすぐそこだ。地下鉄ジャバクアラ駅出口から徒歩十秒という好立地に建てられた、三階建て地下一階の建物はほぼ骨格を現し、今月末に完成を控える。しかし、米国発の金融危機で資材が三割高騰し、「約七百万円が足りない」と難局に立たされている。これまでも資金繰りや為替差損など様々な壁を乗り越え、建設を進めてきた千葉県人会。念願の会館完成まであと一歩だ。
 「公民館みたいな、誰でも気軽に集まれる親睦の場を」――。二〇〇〇年に就任した原島会長の掛け声のもと始まった自分たちの住所を持つという千葉県人会の会館建設。
 幾度となく母県を自費訪問し、交渉をしてきた原島会長だが、「母県ばかりに頼るだけじゃなく自助努力も見せないと」と、元研修・留学生や会員から寄付を集め、約千五百万円でジャバクアラの土地を購入した。
 その後二〇〇五年七月には、母県で「ブラジル千葉県人会設立五十周年記念事業協賛会」(河上茂会長)が発足。県民、県内企業などから五千万円を超える寄付が集まり、日伯一体となった会館作り活動に発展した。
 為替差損で目減りしたため再度資金難にぶつかったが、母県の理解から一千万円が送られるなど、度重なる困難を乗り越えてきた。
 しかし、最後の難関が待ち受けていた。昨年の金融危機で資材が高騰。セメントやペンキ、木材などが三割値上がりし、「完成まで、あと七百万円足りない」と原島会長は言う。
 もともと逆境の中でスタートしたが、「最後を乗り越えられるか分からない」と強気な原島会長も弱音を吐く。しかし完成したら―の夢が膨らんでいる。
 母県と約束した「地域社会に貢献し、日系人子弟の教育に力を入れ、郷土千葉の文化の拠点となる」ことだ。
 県民に関係なく学生に部屋を貸し、剣道教室開校など、現在役員たちが智恵を出し合っている。「やるとこまでやんべ」と原島会長は顔を引き締めていた。
 今月末に完成予定、三月の総会でイナウグラソンを行い、八月に母県から知事を招き日伯合同で公式にイナウグラソンを行いたいとしている。

立地条件良好の新会館

 建設中の新会館は地下鉄ジャバクアラ駅を地上に出て徒歩十秒という良好な立地条件が揃い、悪天候や犯罪の心配も少ないという。周りは閑静な住宅街だ。
 地上三階地下一階、全八百平米の建物は、一階は多目的ホール、二階は事務室、郷土品展示室、青年・婦人部室などのほか、男子寮二部屋。三階は女性寮が六部屋と、六十平米余のゆったりとした明るいダイニングキッチンが設けられる。
 現在、同県人会では学生寮入居者を募集している。部屋の広さは十三平米で二人部屋。随時見学可能。連絡、問い合わせは、原島会長(11・5012・3379)まで。

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