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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年1月8日付け

 「だんだん」と聞いて「段々」ではなく、「有難う」という島根県の方言と理解する人は、NHK朝の連続テレビ小説の視聴者だろう。同番組の舞台となったことから現在、県や県出身者が地元の知名度向上のPRに懸命になっている。というのも、全国的な認知度が最低レベルで、お隣の鳥取県との混同が多いことからだ▼歴史を遡れば、同県出雲地方は、「日本書紀」「出雲風土記」の舞台でもあり、出雲大社に諸国の神々が集まるため十月を神無月というが、同地方では、「神在月」と呼ぶ古代日本ルーツの地▼古代をテーマの一つにした作家、松本清張の『砂の器』では、犯人が奥出雲に残るズーズー弁を話していたという証言が事件解決の糸口になる。味でいえば、割子ソバが有名。皮も挽き込んだ黒く香り豊かなソバを小さな丸い漆器で供する。薬味を変えながら一枚二枚と積み上げていくのが楽しい▼県庁所在地は、『怪談』で知られるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が愛した城下町、松江である。中海に注ぐ大橋川で二分される水の都だ。その源、宍道湖はしじみで有名だが、白魚やうなぎも出てくる七珍料理に豊かな自然を思う。かつて訪れたおり、季節のせいか三珍しかなく、悔しい思いを煌めく湖面の美しさで紛らせた思い出がある▼昨年、東国原英夫知事の活躍で宮崎県が地名度を上げたが、団塊の世代にとっては新婚旅行のメッカであり、有名無名は時代に拠る。筆者は島根出身ではないが、地元を愛する気持ちには、エールを送りたい。  (剛)

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