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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年1月27日付け

 米のビッグ3が経営危機に陥り、世界の自動車産業はどこも苦しい。あのトヨタも昨年は2兆2000億円もの利益を出したのに今年は赤字に転落する。ニッサンもだし、ホンダは経費節減でF1出場を停止するなどと厳しい。米大手3社のクライスラーは伊のフィアットと資本提携し急場凌ぎに命を懸ける▼こんな国際的な大不況のときにトヨタの渡邊捷昭社長が副会長に退き、後任に豊田章男副社長が昇格する。創業者・豊田佐吉の曾孫への「大政奉還」で苦境からの脱却を狙うのが目的ながら前途は険しい。これまで奥田碩、帳富士夫、渡邊の3代が「番頭社長」であり、多くの実績を上げたのは周知の通りだがー昭和25年には石田退三という名番頭がいた▼労使対立が激しくなったときに社長を引き受けトヨタ興隆に活躍した名経営者である。紙は裏も使い、鉛筆は短くなるまで使う人で無駄なことは大嫌い。神谷正太郎という販売の神様もいたし、彼らのような番頭をトップにしたトヨタの体質が、生産・販売世界一に繋がった。77年間も首位のGMを60万台も引き離しての1位は褒められていい▼「乾いた雑巾を絞りきる」という効率主義が、トヨタの繁栄を築く。だが、それでもあの悪の権化のような昭和恐慌に近いとされる金融不安と急激な円高には勝てない。この難問を如何に乗り切るか?が創業家プリンスの課題となる。米のサブプライムが引き金とされる今の不況は長期化しそうだし、再建への道のりは険しいけれども、日本最大・最強のトヨタを目指して欲しい。  (遯)

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