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文協評議員選挙=3派が支持者リストを公表=〃レロレロ候補〃は34人=公約掲げる再生グループ

ニッケイ新聞 2009年3月14日付け

 今月末に迫った文協評議員選挙に向け、現執行部を支持する『体制支持グループ』、高木ラウル、谷広海両氏らを推薦人とする『文協再生グループ』、文協会長選出馬を公言する小川彰夫氏代表の『チェンジ文協』の三派が、それぞれの公約や略歴を付記した支持評議員立候補者リストを公表、会員に郵送するなど、選挙活動に拍車がかかっている。投票用紙は、二十八日の総会で持参してもいいが、それ以前や郵送での投票は二十七日午後五時半が締め切りとなる。五十一人以上に印をつけた用紙は無効となるので注意が必要だ。十三日現在、すでに九十二の投票用紙が文協事務局に届けられている。

 「このままでは文協は潰れます」――。文協の経営姿勢に対し、そう危機感を表す『文協再生グループ』。
 高木ラウル、谷広海、小山昭朗、小森広の四氏を立候補推薦人に置き、一世や県人会などを主とした四十九人(団体)の支持候補者を列記する。
 マニフェストは六項目に分かれ、◎文協理事会選挙を現在の間接選挙から、会員の直接選挙に戻す◎大講堂を中心とした文協ビルの改装◎全伯日系団体の統合、日本文化普及の推進◎日伯の企業・団体、日本政府との関係強化◎国士舘スポーツセンターの活用◎若い世代の育成、運営の任命を挙げている。
 『チェンジ文協』は、「どうすれば文協を活性化させ、理想だけではなく、多くから信頼される組織になれるのか、多くの現場に足を運ぶことで検討を重ねてきました」と小川代表。文協の広報担当、副会長としての経歴を記し、「今会員が参加できる唯一の意思表示」と今回の評議員選挙を位置付ける。
 投票用紙は、すでに支持立候補者欄五十に印を付けたものを送付、「投票の参考にして頂ければ幸いです。貴重な一票を有効にお使いください」と呼びかけている。
 『体制支持グループ』は前回の選挙同様、文協副会長である重田エルゾ氏の事務所が送り元となり、六十二人の支持評議員名簿を送っているが、何故か四年任期の評議員も数人入っている。
 「文協が近年において遂げた様々な改善が今後も維持されることを願っています」とし、改良された面として、「管理の合理化、財政の透明化、会員への対応、インターネットを通じた一般社会へのサービス、全伯各団体との関係強化」などを挙げている。

【解説】1、2世の対立またも露わに=自らの見識で投票を

 各派を支持する評議員立候補者リストが出揃った。理事会選挙が行われる評議員会(四月二十五日)にどれだけ多くのシンパを送り込むかが〃コロニアの大統領〃を選ぶ大きな鍵となる。
 『体制支持グループ』は、渡部和夫評議員長を司令塔に吉岡黎明氏を会長としたシャッパを作っており、『チェンジ文協』はもちろん小川彰夫代表が会長出馬を宣言しているが、『文協再生グループ』のみが推薦人を立てるだけで会長候補が定まっていない。
 谷氏は〇五年に、高木氏は〇七年に体制派と戦った経緯もあり、現文協執行部に批判的な姿勢を見せているが、現在は〃推薦人〃として、静観の構えを見せている。
 ただ、はっきりとした公約を掲げているのは同グループのみ。『体制支持』が自己評価する改良面は、常に批判の的に晒されていることは、コロニアの衆目が一致するところだ。
 各派の支持立候補者のうち、三十四人がいわゆる〃レロレロ候補〃だが、三派全てのリストに入っているのは、鹿児島県人会のみ。
 『チェンジ』と『再生』は十八、『チェンジ』と『体制支持』は十三の候補が重複している。 
 興味深いのは、一世や県人会を主な支持者としている『再生』と二世を中心にした『体制支持』両派にまたがるのはわずか五人(団体)となっており、今までの選挙で浮き彫りになった一世対二世の構図が変わっていないことが今回も露わになった形だ。
 しかし、この選挙制度に対し、会員からは「分かり難い」と批判の声も出ている。というのも、文協事務局が発送した百三十四人の立候補者リストは名前のみ。
 経歴も文協に対する考え方も分からない評議員を選ぶこの制度自体、会員の意思を反映させるものではないからだ。
 いずれかのグループが推薦する候補に投票する必要はない。自分の見識で判断し、信頼に足る人物にだけ投票するのも会員の良識だろう。(剛)

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