ニッケイ新聞 2009年4月9日付け
二〇〇七年に百周年記念事業として企画された在日ブラジル人教師向け「遠隔教育コース」がいよいよ始まろうとしている。三月三十日から今月十四日まで、マット・グロッソ連邦大学(UFMT)で入学願書を受付けている。
これは、在日ブラジル人学校で働く教員や地方自治体などで補助教員として働くポルトガル語対応教員を対象に、ブラジルが四年間の通信教育を三百人に無償で行うもの。正式なブラジル初等教育(幼稚園から小学校四年生まで)の教員資格を得られる。
現在は公認の在日ブラジル人学校が少なく、学費が高額で施設も不備な上、約六百人いるブラジル人教師の大半は本国での教員資格を持っていないなど現状は厳しい。同コースはデカセギ子弟の教育水準、日本語教育や生活教育の向上、ブラジル人学校をネットワーク化することを通じた関連機関との協力関係構築が目的とされている。
ブラジル側は、教育省遠隔地教育局の監督のもとUFMTがEラーニング(インターネット上で学習すること)の授業教材開発、遠隔地教育による授業の実施、日本への短期教員派遣などを行う。また、ブラジル銀行が日本側での経費を投入する。
日本側は東海大学(神奈川)が同プログラムの事務局を設置し、入学試験やスクーリング実施などの主な実施機関となり、文部科学省が後援機関となる。
開校期間は今年度七月から二〇一三年十二月までの九学期。受講者はインターネットを通じて自学自習、また日本国内でスクーリングに参加して直接授業を受ける。
応募資格として国籍は問わないが、高等学校又は同等の課程の修了者以上で、ポルトガル語に熟達し、日本の教育機関においてブラジル人児童の教育に従事している人限定。入学試験は、知識評価と論文式試験から成り一次審査のみ。
二月二十五日に在日ブラジル大使館で記者会見が開かれ、ブラジル公使、田中康夫東海大学副学長、UFMT教育研究所所長、ブラジル銀行アジア地域統括マネージャーらが出席。インターナショナル・プレスによれば、ブラジル公使は「受講者らに将来の日伯の掛け橋となって欲しい」と期待を述べた。
入学希望者はUFMTのホームページ(www.ufmt.br/vestibular/)まで。