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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年4月17日付け

 ちょうど一年前の二十四日、天皇皇后両陛下および皇太子殿下がご臨席され、三権の長が揃い踏みする中で、百周年東京式典が厳かに行われた。思えば来週二十三日夜、文協九階で、ニッケイ新聞が百周年記念事業として準備してきた記念写真集の刊行祝賀会が行われるのは、偶然とは思えない▼振り返れば、昨年は本当に充実した年だった。もちろん足りなかった点、反省すべきところは多々あったけれども、素晴らしい一年だった▼日系社会にとって一世紀に一度しかない節目を、邦字紙としてどう記録に残すか。編集部がない知恵を絞った結果、「百周年記念写真集を出版しよう」と決まり、レアル銀行などの協賛により、ようやく実現した▼というのも、百周年の主役はコロニアのみなさんであり、新聞社はそれをできる限り幅広く取材して記録することに軸足を置いた。その総決算がこの写真集だ。取材と編集に徹したこの一年余りの苦労は先日、初めて製本された見本を見た時にふっとんだ▼いかに全伯挙げて祝賀に取り組んだか、日系社会の底力ともいえる各地の取り組み、各県人会の活動などが、一目瞭然の本に仕上がった。自画自賛になって申し訳ないが、これだけのことをする力がまだコロニアにはあるのだと、手にした人が胸を張れる一冊に仕上がった。写真集の中では、各地の取り組みが見事に一つのハーモニーを奏で、〃日系交響詩〃ともいうべき壮大な絵巻となっている▼各家庭に一冊の愛蔵版として、自分が参加した行事を思い出すだけでなく、孫にも見せ、日本の友人にも贈るなど、各方面に日系社会の実力を知らせるために使って欲しい。(深)

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