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旧神戸移住センター再整備=生まれ変わって6月3日開館=往年の「黄色い壁」も復活

ニッケイ新聞 2009年4月30日付け

 【神戸新聞】神戸港からブラジルへの移住が始まり二十八日で丸百一年を迎えた。新天地を夢見た人々が滞在した旧神戸移住センター(神戸市中央区)は、「市立海外移住と文化の交流センター」として整備され、六月三日に開館する。(小林伸哉)
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 国内で唯一現存する移民関連施設の旧神戸移住センター。一九二八(昭和三)年の設立から七一(同四十六)年まで、移住者が出発前に宿泊し、出国手続きや語学研修などをした。
 ブラジルの日系人団体などから保存要望を受け、市が二〇〇七年度から再整備に着手。歴史を継承するとともに、日本在住の外国人支援や国際芸術交流の場としても活用する。
 「俺(おれ)達(たち)皆は成功を夢見ている」。移住者の落書きが残る同センター。移住者の居室を再現し、移住百年で神戸を訪れた日系人のインタビュー映像などを紹介する。かつて移住者が眺めた風景を楽しんでもらえるよう屋上も開放する。
 日系二世で在神戸ブラジル総領事館元職員、藤塚フランシスコ満さん(77)=北区唐櫃台一=は「センターは移住者にとって『心の故郷』。これから両国の友情を深める舞台に」と期待。日伯協会の多田義治副理事長(70)は「ブラジル日系社会の願いがかなった。移住者の子孫にもぜひ訪ねてほしい」と話している。
 市国際交流課は、移住者の手紙や生活用品など資料の提供を求めている。
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 神戸新聞によれば、再整備の進む旧神戸移住センターの外壁が、建築当初と同じ黄色っぽいクリーム色に塗り替えられ、往時の姿に生まれ変わっている。
 壁面は塗装の一部を削り取って分析し「往年の壁の色をできる限り再現した」という。渡伯前に同所で日本最後の日々を過ごす移民の姿を描いた石川達三の小説「蒼氓(そうぼう)」にも登場し、その中で「黄色い無装飾の大きなビルディング」と紹介されている。

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