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お母さん、お父さんありがとう=ピラール日語校=劇や合奏、歌やおゆうぎ=生徒たちが感謝の発表会=手料理と記念品も

ニッケイ新聞 2009年5月19日付け

 【ピラール・ド・スール発】ピラール・ド・スール日本語学校主催による母の日・父の日発表会が八日午後六時半からピラール・ド・スール文協会館で行われた。お母さんやお父さんに対する日頃の感謝の気持ちを表す母の日・父の日発表会は、数ある日本語学校の行事の中でも最も準備に時間がかかり、また最も盛大なもの。当日は父母はもちろんのこと文協会員や卒業生達も来場し、会館内は二百人近くの人で席がぎっしりと埋まり、文協の中における日本語学校の存在の大きさがうかがえた。

 開会式冒頭で祝辞を述べた阿部勇吉同文協会長は、現在でもここまで盛大な発表会が日本語で行えることを喜ぶとともに、活気のある日本語学校、そしてそれを支える父母・文協会員に賛辞と感謝の言葉を送った。
 その後、学務理事の上芝原氏、学校長の豊田一夫氏から挨拶があり、続いて生徒代表の松岡まさみ君から父母への感謝の気持ちの言葉を述べた。
 この日用意された出し物は、合奏や合唱、劇など八つ。はじめに児童全員による合奏「涙そうそう」が披露された。けんばんハーモニカをはじめ、木琴や鉄琴、ピアノ、鈴やタンバリンなどもあり、今年はソプラノリコーダーに加えアルトリコーダーも新たに加わった。
 わずか二週間という練習期間中、生徒達は学校や家で必死に練習しており、七歳以上の生徒五十九人の演奏者それぞれが自分のパートをこなし、その楽器が奏でた音色が見事に一つの曲を創りあげた。その演奏、また演奏会のような光景に見聞き入った父母達からは大きな拍手が上がった。
 次は幼稚園児・一年生によるお遊戯「崖の上のポニョ」。昨年日本で大ヒットした曲にあわせてかわいらしく踊る児童の姿に、老若男女問わず終始来場者からは笑顔がこぼれていた。
 その後、午前クラスの「こぶとりじいさん」、二年生の「オオカミと七匹のこやぎ」、三、四年生の「星の王子様」、五、六年生の「シンデレロ」と、昔話を題材にした劇が発表された。
 上級生による夫婦をテーマとしたショートコントでは、誰もが見覚えのある日本らしい夫婦の様子を、生徒達がまるでお笑い芸人のように見事に演じた。日本語力の高さだけでなく、その見事な演技力にあちこちから驚嘆の声が聞かれ、会場は笑いの渦に包まれた。
 発表の最後は全児童による合唱「生きてこそ」で、生徒達は歌詞カードを見ないで元気よく歌い上げた。
 教師の一人は、「準備は大変だが、父母をはじめこれだけ多くの方々が見に来てくれて喜んでくれ、また色々な方が『よかったよ』『ありがとう』という言葉をかけてくれるのが非常に嬉しい。生徒達も同じ気持ちを感じているはず」とこの日の発表会の意義を感じ取っていた。
 発表の後、子供からお母さん・お父さんへ手作りの写真立てのプレゼントもあり、受け取ったお母さん達は子供と抱き合ったり感激した様子を見せた。
 生徒による発表の終了後、母の会の伊藤マリアンジェラ会長からお礼の言葉があり、安藤修造父兄会長と共にお祝いのケーキカットを行い、夕食に移った。
 夕食は、毎年生徒と教師達により調理した料理を用意。普段あまり口にしない料理で日本ではなじみの料理をと毎年趣向を凝らせており、今年は鮭としめじの和風パスタやかぼちゃのサラダなど五種類を用意した。
 会場では父母、会員など皆が交じり談笑しながら、生徒達の手料理を食べた。後片付けも含め、最初から最後まで生徒達が行う、まさに手作りの発表会だった。
 また会場の四方の壁には生徒の絵や毛筆の作品、飾りなどが華やかに飾られており、小雨の降る少し寒い夜であったが、温かみのある会場、温かい料理、そしてその場にいた生徒、父母達の熱気で温かく包まれた。

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