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帰国ブラジル人は3万人=中国新聞取材に駐日大使=各地コミュニティーと連携を=再入国制限に一定の理解

ニッケイ新聞 2009年6月2日付け

 【中国新聞】解雇や仕事が見つからずに帰国した日系ブラジル人らが昨年秋から三万人を超えたことが分かった。広島日伯協会の創立三十周年記念式典に五月二十九日夜出席したルイス・アウグスト・デ・カストロ・ネーベス駐日大使が、中国新聞の取材に明かした。
 大使は「在日ブラジル人数は、二〇〇八年の第4四半期から急速に減少に転じ、直近の調べでは約二十八万人に減った」と答えた。
 法務省が公表している外国人登録者数(〇七年末現在)で、ブラジル国籍者は三番目の約三十一万六千人だったが、昨年秋の金融危機を引き金に、製造現場に派遣されて働く人たちの解雇が各地で相次ぐ。結果、家族を伴う帰国者が三万人を超えたとみられる。
 政府は四月、日系人に帰国費用(一人三十万円)を給付する代わり再入国の制限措置を始めた。これについて、大使は「ほとんどが自費で帰国している。旅費を受け取ると日本で定住資格があっても戻れないからだ」と指摘。「支援事業を一時帰国に悪用されてはとの日本側の懸念は分かるが、両国政府が友好的に話し合い、制限期間が三年となったのはよかった」と、一定の理解は示した。
 在日ブラジル人の就労は「日本語が十分にできずサービス分野などへの再就職が難しい」とみて、日本語学習や職業訓練の提供を関係団体に要請していると強調。親の失業からブラジル語学校をやめた子どもたちが公立学校へ行けるよう、各地のコミュニティーと連携したいとも述べた。
 「日本は先進国だが純血主義の発想を感じる。在日ブラジル人は自らの文化を大事にしながら日本社会へ融合してほしい。互いに理解が進めば状況は好転する」と、日常レベルでの交流拡大に期待を寄せた。ネーベス大使は〇四年からの中国大使を経て昨年十一月に着任した。(編集委員・西本雅実)

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