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外務省=在外ブラジル人との連係は中座?=2年休止の世界ブラジル人会議=在外代表者審議会も頓挫=ソアレス局長「再開する」

ニッケイ新聞 2013年2月8日

 デカセギを含む世界の在外ブラジル人とブラジル政府との公式な直接交渉ルートを作るために、ルーラ大統領(当時)の肝いりで始まった「世界ブラジル人会議」は08年から3年間実施した後は休止され、在外ブラジル代表者審議会(CRBE)は昨年後半に新委員選出が行われるはずだったが、今も目処が立っていない。その状況の中で国外就労者情報援護センター(CIATE)、文協、帰伯労働者情報支援センター(NIATRE)が主催して2日午後に文協小講堂で、同審議会を統括する外務省在外ブラジル人コミュニティ担当のイザベラ・メデイロ・ソアレス局長と、在外ブラジル人代表者審議会の篠田カルロス元委員長の講演が行われた。

 「世界ブラジル人会議」は08年から開始され、在外コミュニティ代表がリオに集まって会議を行い、各国の問題を直接に政府に伝えた。大会の中で常設機関として在外ブラジル人代表者審議会の設置が提案され、10年12月に同評議会が実際に活動を始めた。世界を4地域に分けて16人の正規委員と同数の代理委員という代表者を10年末に選挙で選んだ。昨年後半に第2回選挙があるはずだった。
 篠田さんは任期中、初代委員長としてに役割を果たそうと努力したが、世界ブラジル人会議に参加する旅費以外はすべて自腹だった。「世界のブラジル人の現状を見て回ったが、現地で旅費をカンパしてもらうなど満足な活動が展開できなかった。多くの犠牲を払わなくては進めない茨の道だった」と報告した。
 仏領ギアナ在住者の大半はガリンペイロで不法滞在問題、パラグアイでは付近の農場主が多いため土地所有権問題、アンゴラにいる20万人は治安問題、中東在住者は宗教問題が中心で、日本のデカセギとは問題の質が異なり、「現在の審議会のやり方で意見を吸い上げ集約することは不可能」と現状を述べた。昨年11月にはなんとかまとめた10項目の重点課題を同局に提出した。
 当日は「世界ブラジル人会議は止めたのか?」「在外ブラジル人代表者審議会はどうするのか」との会場からの質問を受け、ソアレス局長は「けっして世界会議は頓挫した訳ではない。11年も開催準備が進められていたが、予算の問題で突然中止に追い込まれた。今年10月開催に向けて準備中」と説明した。同審議会に関しても「委員の選出方法の変更など課題を洗い出して運営方法を検討中。いずれ再開される」と公言した。
 危機以前には312万人もいた在外ブラジル人だが現在は252万人に減少。それでもアクレ州(62万人)など数州よりかに多く、日本の20万人も含め在外ブラジル人にも国内同様の権利を保証することは大きな課題だ。
 篠田元委員長は「イタマラチーは6月頃まで審議会の新しい運営方法を検討し、その後、代表者選出が行われる予定だと聞いている。もう少し忍耐が必要だ」とのべた。当日は40人程度しか来場者が来なかった。

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