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アマパー=赤道直下の校長先生=私立校経営、横野玲子さん=州唯一の日本語教師も

ニッケイ新聞 2009年10月7日付け

 【マカパー発=堀江剛史記者】「今日はミステリーの本を読みましょう」―。そう日本語で声を張り上げるのは、アマパー州唯一の日本語教師横野玲子さん(61、兵庫)。夫アルミンド・オリヴェイラ・ソウザさん(63)と州都マカパー市で経営する私立校「Inter Genius Escola Tecnica」(生徒数260)の校長を務めながら、併設する語学学校で週8回は教壇に立ち、日本語も教える多忙な日々を送っている。

 「神戸・三宮でOLやってたんですよ」
 1982年、証券会社に勤めながら通っていたバレエ教室から、京都の商店街であったイベントへ参加。
 そのとき、神戸大学に留学中だったアルミンドさんに出会い、神戸まで電車で一緒に帰った。
 「英語や日本語のチャンポンで話すうちに仲良くなり、半年後には結婚を決めた」。家族の反対は全くなかったという。
 「お見合いも断っていたから、両親は『誰とでもいい』って感じでしたね」と笑う。
 ポルトガル生まれ、リオ育ちのアルミンドさんは、マンガンの掘削・輸出を行うアマパー州にあった鉄鉱会社「ICOMI」に勤務、1年の期限付きでの留学だった。
 翌年の帰国時、玲子さんも海を渡る。二人の新居は自然、赤道直下のアマパー州となった。
 当時、同州は連邦直轄領(88年に州に昇格)でマカパーの人口は約18万(現在は35万人)。今でも目立った地元産業はなく、高い建物がない田舎の町といった町並みだ。
 「私が来た26年前は家も塀すらなくて、本当に何もなかったんですよ。とにかく暑さと蚊には参りました。インフレも凄くて、『何で午前と午後で値段が変わるの?』って夫に聞いてました」と振り返る。
 急激に10キロも痩せ、あまりに違う日本との生活に毎週のように家族や友人に手紙を書く日々が続いた。
 その年には長女ミシェリさん、翌年には次女ヴェルナさんが生まれ、育児に追われる。ポルトガル語も学び、徐々に生活に馴染んでいた頃、夫が出張中に円形脱毛症になった。
 「自分は(精神的に)そうならないと思っていたんですけど…家に強盗が入ったりもして、やっぱりストレスが溜まっていたんでしょうね」
 87年に親子3人で神戸の実家に帰り、1年半過ごした。二人の子供は幼稚園に通わせ、自身はパートで働いた。
 「このまま日本にいてもいいんじゃない?」と両親から言われたが、アルミンドさんから帰国を促す手紙も届いていた。
 考えた末、「子供の将来のために両親が一緒にいるべき」と考え、アマパーに戻る。
 大学の教師もしていたアルミンドさんが92年に語学学校を始める。英、西、仏、そして横野さんが日本語のクラスを担当することになる。現在、日本語の生徒は16人。
 96年には私立校「Inter Genius Escola Tecnica」を開校。英語を取り入れたバイリンガル教育、ブラジルには珍しく音楽もカリキュラムに入れた独自のシステムを作ったが、「必要ないんじゃないか」という親も多く、理解を求めるのに苦労したという。
 「月謝を払わない親が多い」のも苦労の種だ。頭を悩ませ、負担のない支払い方法を考えた。
 離婚率が高く、情緒不安定になる子供も多く、小さな変化も見逃すまいと心を砕く。
 現在、約1500平方米の敷地面積を持つ新校舎を建設(2010年の完成を予定)している。
 同州の教育レベルは国内でも低いとされ、「進学でベレンに行くので日本語のクラスを続ける子供は少ないですね」
 おっとりした口調で残念そうに話す赤道直下の校長先生。その奮闘はまだまだ続く。

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