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もう一度日本のパスポートで=帰化人の国籍復活運動=麻生首相、小泉元首相にも要望

ニッケイ新聞 2009年6月10日付け

 一九六〇~七〇年代に土地取得などのためブラジルに帰化した移住者の日本国籍復活運動が、再び活発化しつつある。県連顧問の羽田宗義さんを代表とする運動推進委員会が〇六年に活動を始めた後、一時停滞していたが、昨年終わりごろから国政関係者に要望を行なうなど新たな展開を見せ始めている。

 日本国籍復活運動は羽田代表と獣医の井料堅治さん、ブラスビア旅行社社長の石井久順さんらを発起人として〇六年から始まり、署名活動を展開。〇七年にはそれまでに集まった約二千の署名簿を在聖総領事館を通じ扇千景参議院議長(当時)へ送った。
 それ以後、目立った動きはなかったが、「まだ続いていることを知ってほしい」と石井さんは話す。
 同委員会では、石井さんが昨年十二月に訪日した際、同郷の町村信孝元官房長官に同件について要望。さらに井料さんの従兄弟である小泉純一郎元首相や、日ブラジル会議員連盟会長の麻生太郎首相にも要望を行なっていく考えだ。今年五月には石井さんから町村議員に文書で重ねて要請している。
 日本人移住者の帰化は、農地を購入する際にブラジル国籍が必要だったことから、当時の農協中央会などにより進められたもの。企業でも社員の三分の一がブラジル人でなければいけなかったことから、進出企業関係者で帰化した人もいるという。
 石井さんのところにはこれまでに約千八百人から連絡があり、中にはマット・グロッソやアマゾナスからもあるという。「『日本のパスポートで一度帰りたい』という声を聞く」と関係者の心情を代弁する。
 さらに国籍復活が実現すれば、「次の衆議院議員選挙で在外投票を行なうことが可能になる」とも話す。
 石井さんの推測によれば、日本人移住者の帰化人は「ブラジル全体で二万人はいるのではないか」という。「この機会により正確な調査ができたら」と話し、関係者の連絡を呼びかけている。
 詳細は石井さん(電話=11・5573・6262または9992・8474、メール=ishii.brazil@gmail.com)まで。

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