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日系社会から大統領を!=ノロエステ連合が立つ=独自に百周年事業構想=地方から全伯へ発信

12月10日(水)

 二〇一八年には日系社会から大統領を!――。こんな雄々しい叫び声が〃移民のふるさと〃ノロエステから挙げられた。五日午後六時から文協で行われた百周年記念祭典協会理事会で、ノロエステ連合日伯文化協会(五十嵐二郎会長)のノロエステ百周年事業実行委員会の末永建郎委員長が独自の事業を紹介した。すでにサンパウロ総領事館にも説明済みという。文化・教育・研究・情報機能を持つ拠点施設をノロエステ線の要所に建設し、日系社会の見本的内容を構築し、全伯の日系団体に情報の発信を行うとしている。

 ノロエステ線は全長四百五十キロにおよび、沿線には三十一もの日伯文化協会が散らばる。推定四万五千人の日系人口を持ち、うち四千家族、約一万八千人が各文協に参加する。ブラジル広しといえど、これほどの日系人密度と団結を誇る地域は少ない。また平野運平、上塚修平、佐藤念福等々の人材を輩出すると同時に、平野植民地のような初期移住悲話を生み出した、伝統ある土地だ。
 「昨年八月、赤阪総領事(当時)がアラサトゥーバを訪れた際、『百周年に向けてノロエステを挙げて議論してくれ』と言われた」と、末永さんは事業発案のキッカケを説明する。
 議論を重ねた結果、次の三大目標が決まった。(1)制度疲労を起している日系団体に抜本的改革を施す。(2)日系社会の見本的内容を構築し、全伯の日系団体に情報の発信を行う。(3)移民百周年以後を視野に入れた、日伯両国の国家利益の観点からプロジェクトを作成する。
 (1)「日系団体の抜本改革」では、文化協会から「日系クラブ」に改称し組織改革をする。具体的には、日伯文化融合を図る文化事業部、バイリンガル教育を推進する教育事業部、農業・商業・工業など様々な分野の質的向上を目指す研究会事業部、ブラジル社会への貢献を目指す各種学会事業部を発足させる。
 と同時に、ノロエステ連合並びに各支部に政治局を設置し、政治参加を積極化させるとし、次の日程を提案した。
 イ)〇四年度は各支部から日系人または親日ブラジル人市議会議員を数名づつ市議会へ送る。ロ)〇六年度にはノロエステから、日系または親日ブラジル人数人を連邦下議へ送る。同時に多くの州議を出す。ハ)〇六年から他地域の日系団体に呼びかけて政治参加を進める。ニ)一〇年には日系または親日の連邦上議を多く議会へ送り込む。ホ)大統領選に向けて日系社会の総力を結集する。へ)一八年には日系社会から大統領を選出できるだけの力を養う。
 これら計画を実行するためには、推進拠点が必要だとし、日本から十億円を拠出してもらって、文化・教育・研究・情報の拠点となる総合施設を要所に建設する。バウルー、リンス、アラサトゥーバには総合施設を設置し、ミランドポリス以北の弓場農場(文化部門)、第二アリアンサ(教育部門)からアンドラジーナ(研究部門)までは分散型施設とする。
 末永さんによれば、十一月二十六日にサンパウロ総領事館に計画書を提出し、説明した。「石田総領事は二時間に渡って聞いてもらった。総領事から百周年協会にも出してくれと言われ持ってきた」という。
 「日本人会の改良、日伯学園構想など、我々は危機感を持って議論を重ねてきた」と末永さんは力説した。ノロエステ発のこの大構想が、他地域にどのような影響を及ぼすか。〃移民のふるさと〃から目が離せないようだ。

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