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国内最大級の日本公園を訪ねて=健全運営に向け奮闘、マリンガ=(中)=月7万レの維持費捻出がカギ

お茶を振舞う若い女性ら。このように施設の活用場面を増やしたい

お茶を振舞う若い女性ら。このように施設の活用場面を増やしたい,

 月7万レアルという公園維持費の内、電気代だけで1万レを消費するという。主な固定収入は週末に開催するレストランなど。土日に一人28レアルでブッフェを提供する。「安くて美味しい」という評判の一方、サンパウロの経済感覚からか「収入を考えればもっと値上げしても良い」という声もあった。
 最も経営を支えているのは市からの補助金だ。元市長シルビオ・バーロスさんの肝いりで始まったからでもあるが、毎月4万レの助成がある。今ではようやくトントンになったが、自営を見越し年々減額されるという。またこの補助金制度は30年契約で、半期を迎える15年目に金額などが見直しされることになっている。
 だから市の助けばかり頼ってはいられない。繁忙期は週2千人にも及ぶ来場者の消費意欲をどうくすぐるかだ。今年5月から就任した埜真ジョン会長には、そんな部分に期待が寄せられている。自動車販売業を経営する手腕を武器に、安定した収支を目指している。
 「まずは賃貸収入を増やす。結婚式などで利用してもらいたい。イベント運営も積極的に。焼きそばやカラオケ大会もできるのではないか」と活性化を図る。その言葉通りに今回の出張お茶会・花展を要請した。
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 15日午後の開会式では埜真会長が来場に感謝を示し、あいさつで公園の概要を説明した。池田敏雄在クリチーバ総領事や、マリンガ文協(ACEMA)の塩崎アフォンソ会長も来賓として訪れた。
 クラウジオ・フェルジナンジ副市長は携帯電話を手に、「私の待受画面は公園の景色だ。知人からは『これはどこ?日本?』と聞かれるが、『地元のマリンガにあるんだよ』って胸を張って答えているよ」と紹介した。
 確かに市内を走る観光バスには、有名なカテドラル(大聖堂)に加え日本公園の絵も描かれているので、市を上げて宣伝に乗り出している様子が分かる。今回の茶会・花展にも強い日差しの中、多くの来場者で賑わった。
 茶席は4つ用意された。来場した地元在住の小川敏子さん(79、二世)は「日本と変わらない雰囲気。大変美味しく頂きました」と喜び、知識の薄い非日系でも「お先に」「お点前頂戴いたします」といったやり取りを、補足説明を受けながら体験した。
 運営に当たったのは地元の茶道家たち。10代の女の子も和装姿で手伝っていたので驚いた。地元で指導に当たる尾形宗俊(俊子)さん(77、二世)は、「愛好者が子どもや孫も連れてくるので、若者も興味を持つように。特に北パラナには日本人の心が残っているので、子どもたちに伝えようという意識が強いのでは」と話した。
 公園内の常設茶室では月に2~4度、2人の先生が約15人の生徒を指導しているという。ただ尾形さんは「こんな立派な茶室があるんだから、普段の教室、今回の出張お茶会に限らず、使用頻度を増やさないともったいないわね」と、悩ましげな表情を見せた。(つづく、小倉祐貴記者)

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