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沖縄のこころ伝えて15年=琉球民謡保存会=発表会のある記念式典=日本の会長らも祝福に

ニッケイ新聞 2009年6月18日付け

 琉球民謡保存会ブラジル支部(仲村善正支部長)の創立十五周年記念式典が七日午後一時から、サンパウロ市の沖縄県人会館で開かれた。日本の同保存会本部から久高友吉会長など四人が祝福のため来伯。式典後は同支部の愛好者たちによる発表会が行なわれ、五百人以上の人たちで終日にぎわいを見せた。
 一九九四年に安慶名信夫、亀谷安男、照屋マリオ氏らが中心となって始まった琉球民謡保存会ブラジル支部。六十人ほどだった会員は現在二百人に増え、師範十一人、教師二十五人を数える。
 先亡者への黙祷に続きあいさつに立った仲村支部長は、後援した県人会、沖縄芸能八団体、支部創設者への感謝とともに、三線と民謡が世代を超えて伝わっていることに触れ、「私たち関係者にとって大きな喜び。今後の普及への励みと力になっている」と述べた。
 同支部からは創立以来、沖縄RBC放送の新春民謡紅白歌合戦にブラジル代表を派遣しており、その数は三十人に上る。
 崎間達雄実行委員長は、訪日した代表たちが「世代は代わっても勇気と感動を持ち帰っている」と語り、文化の継承・普及の大切さを強調した。与儀昭雄県人会長、仲村渠清徳・琉球民謡協会会長らも祝辞を述べた。
 式典にあたり、日本の本部から久高会長、島袋整孝理事、新垣美奈子事務局長、安谷屋志乃会計の四人が慶祝のため来伯。昨年の移民百周年祭典でも来伯した久高会長は、「多くの教師の努力と会員達の苦労があったからこそ。感激しています」と祝意を表わし、「第二の故郷で沖縄の文化が二世、三世、四世に受け継がれていることに感謝と敬意を表したい」と述べた。
 草創期からの関係者、歴代支部長や久高会長ら本部関係者に功労賞・感謝状を贈呈。仲村支部長から本人、故人の代理など一人一人に賞状が手渡され、会場から温かい拍手が送られた。
 式典後の発表会には同支部の愛好者をはじめ、友情出演の舞踊団体、久高会長ら本部関係者などのべ二百人以上が出演。独唱や合唱、舞踊など六時間にわたり二十七の演目が披露された。
 二世、三世の子供たちも多数出演。演目の中には、安慶名氏への顕彰を込めて、同氏が作詞作曲した民謡「イッペーの花」を地元カーザ・ヴェルデの会員が合唱する場面も。一世から三世、非日系のブラジル人などが順に演奏して十五年の歩みを表現する演出もあり、ブラジルの地で郷土の心を伝えてきた先人への顕彰と感謝の思いを感じさせた。
 支部創設に関わり、昨年三月に九十四歳で亡くなった照屋マリオさんへの功労賞は、息子のオズワルドさん(61)が代理で受けた。「父は沖縄の文化を大切にしていました」と振り返り、「家族としてとても誇りに思う」と語った。
 ブラジル最初の民謡団体となった「マウア民謡協会」を始めた親川世松さん(88)も、この日功労者表彰を受けた。
 始めた当時は子供が十四、五人だったという。「大人もいたけど続かなかったですね」。発表会でにぎわう会場で親川さんは、「ここまでなるとは思いませんでしたよ」と話していた。

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